ら 伊作に一ツ瀬を預け、すぐに食堂にもどれば、天女が何事かつぶやきながら飲みかけの茶を片付けているところだった 「一ツ瀬の飲んでいた茶は残っているか?」 「え、あ、文次郎くん・・・ご、ごめんなさい、もう捨てちゃったの」 「・・・そうか」 彼女が間者なら、証拠を残すわけがないし、それも予想のうちだった 邪魔したな、と告げて俺は食堂を後にした その後、気配を殺して俺は天女の部屋へと忍び込んだ ぐるりと軽く部屋を見回すと、文机の上に手紙を見つけた 「!」 内容は・・・忍術学園に仇をなそうとする城からの手紙だった ―天女殿 天女と偽りて学園に取り入る手腕、大変見事であった そなたを手放しにしておくのはとても惜しい、故に我が城に学園の何れかの 首もちて登城すること希う そなたが吉報持ち我が城の利となることを期待している――― 偽り・・・やはりあの天女は偽りだったと言うことか あのような者に俺は、学園は、騙されていたというのか 俺もまだまだ修行が足りないな・・・だがそれを悔いる前に、こちらをどうするのか、考えなければ・・・ 俺は手紙を元に戻し、静かに部屋を後にした そして天女の標的となった一ツ瀬の様子を見るため、保健室へと向かったのだった ―――――― 「・・・脈も安定してきたし、痙攣も治まったね、良かった・・・ありがとう、竹谷、助かったよ」 「いえ、一ツ瀬が無事でよかった。でも・・・なんであの毒が持ち出されてたのか・・・」 僕は竹谷の言葉に肩をすくめ、それは僕も知りたいよ、と返した そこで竹谷は何か思いついたように顔を上げた 「あの・・・あの毒があるってこと知ってるの、俺たち生物委員会と、善法寺先輩、後は・・・かなさんしか知らないはずなんです」 「かなさんも、知ってるの・・・?」 竹谷はうなずき、丁度新しい毒見つけたときに、かなさんが手伝いに来てたんで・・・とこぼした そのとき、文次郎が帰ってきた 「一ツ瀬の調子はどうだ?」 「竹谷が毒の事知っててね、思ってたよりも早く解毒できたよ」 文次郎はそうか、と答えると、僕に向かって矢羽音を飛ばしてきた ――今日の夜、俺の部屋に来て欲しい、天女の部屋で手紙を見つけたんだが、そのことを話しておきたい ――・・・分かった、留さんにも伝えておくよ ――悪いな 疑いは疑いを呼ぶ → 戻 |