な 「おいっ、しっかりしろっ!!」 一ツ瀬は血の気が引いて冷たかった 一刻の猶予もない、早く保健室につれていかなければ・・・っ 「・・・ど、どうしたの・・・?」 「毒だ」 聞いてきたかなさん・・・いや、天女に一言鋭く返してから、俺は一ツ瀬をつれて保健室へ向かった 「伊作!」 文次郎にしてはやけに焦った声が聞こえた 僕はなんだろうなぁと思いながら文次郎の方に行けばぐったりとした朱ちゃん横抱きに抱えられていた 「朱ちゃん!?」 「天女と茶を飲んでいたら倒れた。たぶん毒だ」 俺はもう一度行って一ツ瀬の飲んだ茶を回収してくる、と文次郎は言うと、すぐに消えた 僕は急いで朱ちゃんの心音を聞くが、既に心音の鼓動は遅くなっていた 一刻の猶予もない、毒の特定を・・・そう思っていたときだった ガラリと戸を開けて入ってきたのは、生物委員の竹谷だった 「どうしたの?」 内心焦りながら、僕は竹谷に聞いた 竹谷は寝ているのがだれだか気になったみたいだけど、兎に角要件を伝えてくれた「あー・・・この間新しく見つかった毒が、なんか数足らないんで・・・こっちにないかと思って」 「・・・竹谷、その毒の症状は?」 いつになく真剣な僕に一瞬身じろぎしたものの、竹谷はえーと、と言ってから答え始めた 「水に溶けやすくて、無味無臭、飲むと痙攣して、斑点が出てくるんだったかな・・・すぐ殺せるし、即効性がありますね」 すぐに朱ちゃんの体を確認する 痙攣は、ある 斑点も・・・でてる 文次郎は倒れてすぐに連れてきてくれたから、それがここまで回ってるってことは即効性の毒 朱ちゃんの実力なら毒に味が合れば気づくはず、それがなかったってことは、無味無臭になるだろう 「竹谷、それの解毒薬は!?」 「飼育小屋の方に管理して・・・」 「持ってきて!早く!!」 竹谷は慌てて取ってきてくれた 戻ってきて、僕が見ている患者を見るなり目を見開いた 僕は感謝の言葉もそこそこに、朱ちゃんに解毒薬を飲ませようとした、けれどなかなか飲もうとしない 「一ツ瀬・・・?」 「・・・竹谷、これから見るのは内緒にしてね」 え、と竹谷が声を上げてすぐ、僕は解毒薬を溶かした水を自分の口に含み、朱ちゃんの口に流し込んだ 喉が動いたのを確認すると、僕は薬を含んだ口をゆすぎ、朱ちゃんの様子を見守った 生還を願う → 戻 |