ね 私は兵ちゃんと共に歩くかなさんを見つけました 彼女は自分でなにをしたのか自覚しないまま、笑い続けているのでしょう・・・ 私はトントン、とかなさんの肩をたたきました かなさんは振り向くと、そのお可愛らしい笑顔を浮かべました そうしてがばっと効果音がつきそうなほど盛大に私に抱きついてきました 「良かったっ・・・朱ちゃん、死んじゃうかとおもったよぉ・・・っ!」 死にかけた原因は貴方なんですけどね、と思いながらも、私はかなさんに優しく笑いかけました 「かなさん、俺委員会なんでいきますね」 「あ!ごめんね、つきあってくれてありがとっ!」 兵ちゃんは照れくさそうに笑うと、それじゃ、と去っていきました 私も小さく手を振り、見送ると、かなさんに提案をしました かなさん、美味しいと評判のお饅頭を先輩から頂いたんです、折角ですから一緒にお茶しませんか? 私がそう提案すると、かなさんは本当に嬉しそうにうなずきました 部屋から持ってきますから、先に食堂に行って準備をしてもらっても良いですかと頼み、私は一度部屋へ戻りましたもちろん、お饅頭は毒入りじゃありません 私が用意したものに毒があれば、私が疑われてしまいますから 私は微量の、けれど毒性の強いそれとお饅頭を持って、食堂に向かいました 食堂につけばそこにはかなさんが後ろを向けてお茶を入れていました 私はかなさんに近づき、ひょこりと前に顔を出します 「わぁっ」 吃驚させてお茶から私へと目をそらせます その内にに、手に隠していた毒を片方のお茶に入れました 私はかなさんにすこし困ったように大丈夫ですか、と問うように笑いかけました 「大丈夫だよ、それより早く食べよっ」 私は笑ってこくりと頷くと、かなさんの向かい側に座り、先ほど毒を入れたお茶を手渡されました そのときふと視界に映ったのは、六年の潮江先輩でした 「あ、文次郎くーんっ!」 かなさんも私の視線に気づき、彼を呼びました 私は軽くお辞儀をしました・・・何故だか眉をひそめられましたが 「文次郎くんも一緒に飲まない?朱ちゃんが美味しいお饅頭貰ったからって!」 先輩はいいのか?と私に聞くので私は頷き、机に文字を書きました 私だけじゃ食べられないくらいでしたし、かなさんと一緒に食べても余ったでしょうから、是非 「そうか」 かなさんはパタパタと足音を立ててお茶をもってきました それを潮江先輩の前に置くと、自身もすわり、いただきますっと言いました 私もどうぞ、と身振りをつけ、お饅頭を手に取ったかなさんにならい私もお饅頭を食べ始めました 「おいしいっ、これどこのお饅頭なの?」 街に行く途中の道を少しだけはずれたところにお茶屋さんがあって、そちらのものなんです くの一教室では定番なんですよ 「そうなんだぁー」 にこにこと笑うかなさんに、私は笑いかけながら、お茶を手に取りました そして一口飲むと、一気に私の血の気が引き、手足が痙攣を起こしました それにいち早く気がついたのは潮江先輩でした かなさんも遅れてなんだか大変だと気がつき、けれど情報が飲み込めていないのか、座ったまま固まっていました 「おいっ、大丈夫か!?」私は抱き上げられた感覚を最後に、意識を飛ばしました 開幕前のカーニバル → 戻 |