もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ




「どうして・・・どうして、部屋から出たのっ!?」


びくりと体が跳ねる
振り返ると涙を浮かべたくのたまの子たちがいた
あたしをキッと鋭く睨んでくる
あたしが怖くてたまらない、その目


「あなたが大人しくしてくれてたら、一ツ瀬先輩が怪我することは無かったのに!!」
「あ、たし・・・そんな、朱ちゃんを傷つけたかった訳じゃ・・・っ」


だって、あたし悪いことしてないよ
止めようとしただけで・・・だって人として普通のことでしょ・・・?
むしろ、くのたまのあの子達こそ、止めなかったんだから悪いことしてたはずでしょ・・・?
あたしは良いことをしたのに、なんで・・・


「なんであたしがこんなに攻められないといけないの・・・?だって殺しあうはいけないことだから、止めようとしたのに・・・」


どこかでぱきりと音がした気がした


「・・・行きましょう」


六年生の人が、下級生のくのたまを連れてどこか行っちゃった
・・・あたし、悪くないもん・・・ねぇ、そうだよね・・・?




平成≠室町







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