もう一度だけ 名前を呼んで | ナノ




偶々・・・なのかはわかりませんが、私は普段会うことの少ない忍たまの鉢屋くんと廊下で鉢合わせました
彼は私を見ると、珍しくぐっと何かを抑えるような表情をしました

・・・?
鉢屋くん、どうかしましたか・・・?


「一ツ瀬は悔しくないのか?お前と兵助は幼馴染で仲がよくて、それなのにあんな女に・・・っ」


私はその一言に、彼の言わんとすることを察して顔をゆがめる鉢屋くんの頭にぽふっと手を乗せ、そして、ゆっくりと撫でました


あのね、鉢屋くん
私は兵ちゃんにたくさん助けてもらいました
だから、私は兵ちゃんに幸せになってもらいたいのです
卒業すれば、分かたれる道・・・私は兵ちゃんに支えられることなく、一人でたっていかなければなりません
ですから、私も良い機会なのです、兵ちゃんなしで生きていくためには、必ず通らなくてはならない道ですから



たから、心配する必要はないのですよ、と微笑んだ
鉢屋くんはなんだか腑に落ちない顔をしています
・・・違う答えを望んでいたのですね
ふぅっと一つため息をつくと、私は困ったように笑った


くのたまは、まだ様子見の段階ですが、今後更に学園が彼女の影響でおかしくなるのなら…私たちは彼女を学園の敵と見なすでしょう…
私としては、そうはしたくないのですけど、ね



望んでいた答えは得られましたか?
そう鉢屋くんに聞くと、彼はこく、と頷き、すまないな、と言ってから去っていった



手の内をあかす





――――――
※鉢屋三郎の「鉢屋」表記について
「鉢屋」と言う名前は、以前別サイトさんで差別用語に当たるということを見かけました
私自身、その後軽くネットで調べてみたところ、確かに鉢屋という名は差別用語とされていました
しかし、rkrnでの鉢屋三郎の由来は鉢屋衆 鉢屋弥三郎から来ていると記載されており、その鉢屋衆は祭礼や正月に芸を演ずる芸能集団とされています(参考:Wikipedia)
rkrnで鉢屋三郎は変装の名人と設定されています
ですから、私は変装を芸能の粋に入るものとし、このサイトでは鉢屋と表記することとしました
不快を与えてしまうこととなりましたら申し訳ありません



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