異変


何か、不審な音がした。
今ドサッていった。
ぐッても聞こえた。
それは午前1時を回る頃のことだ。
布団に潜って就寝寸前だった佐倉楓香の耳に不可思議な音が届いた。
それは一人暮らしの彼女の部屋ではするはずのない音。
モノが落ちる音はわかる、が、うめき声が聞こえるというのは如何なものだろう。
一体何が落ちてきた?
被っていた布団を恐る恐る下げて、ゆっくりと上半身を起こす。
見渡す部屋は電気がついていないせいで真っ暗、僅かな光を頼りに目を凝らして見ても何処に何があるかなんてわかったものじゃない。
さっと申し訳程度に視線を巡らせて、見えているか怪しい室内を見渡して何もないと自己暗示をかける。
うン、だいじょうぶ。
ぐッてうめき声だけ気のせいだ。
モノが落ちてきたのだけ本当で、きっと声は勘違い。
再び布団を頭まで被って。

それでも、
布の擦れる音が、僅かに荒い吐息が聞こえてきてしまって寝るに寝れない。


…明かりを、つけてみようか。
いやいやいやいや、
もし部屋に何かいたらどうするんだ。
布団から顔を出してまた被ってを繰り返す楓香。
部屋を照らす電気は中央、それをつけるためには向かいの入り口まで行かなくてはならない。
しかしそこまでの道のりには何かが落ちた予感。
暫し考えて、
楓香はベッド脇の小さな机に乗るライトの紐を引っ張った。





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