すきすきオムライス




「………お前は何で投獄されたンだ?」
「……魔女が目の前から姿を消したことに逆上して近くにいた近衛隊長に喰ってかかったら反逆罪とみなされたらしい。即父から投獄の令が出た」
「他人事か」
「まぁな」
「……。…ンでそんなのはどうでもよくて、何で投獄された奴が今ここにいるんだよ」
「脱獄したからに決まっているだろう」
「…………………おま、」
「黙れ聞け。続きがある」


そんな王子が口を開こうとしたのと同時、美味しそうなオムライスを携えた珠代が、キッチンから出てきた。
目を輝かせた王子の注意がオムライスに奪われてしまったため、お話は一度中断。
偉そうに黙れ聞けなんて言ったくせに、食べ物に負ける王子サマである。
いただきます、と両手を合わせた王子に珠代がにっこり微笑んで。


「二人で何の話をしてたんだい?魔女とか魔法使いだとか聞こえたけど、」
「ぶッ」
「なんだ聞いていたのか」


別のテーブルから椅子を持ってきて話に加わる珠代は何だか楽しそう。


「実は俺の身の上話をだな」
「身の上話?」
「いやいやいやいや黙ってろ王子、
山田さんRPGって知ってる?実は今王子がやってるゲームの話を聞かせてもらってるんだけど」
「嗚呼知ってるよ、賢吾がよくテレビにはりついてやってるからね。…楓香ちゃんそういうのに興味あったのかい?」
「ち、ちょっとだけな!」
「へぇー、じゃあ私も聞かせてもらおうかね」
「うむ、構わん」
「いや構え」


思わず突っ込みをいれた楓香だったが、タイミングよく鳴った電話に珠代が応答したため、こっそりとお話を再開する。




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