くらしかるすたいる(1/4)
かろんからん、
アンティークめいた金属音が辺りに響く。
本屋というよりかは雑貨屋や喫茶店に近いその店。
茶色ベースの店内の、壁際の本棚や所々に設置された木製テーブル、そこかしこに置いてある家具やら何やらはやっぱりちょびっと古めかしい。


「てーんちょー?店長ーッ?……あれァ」
「いない…な。珍しいことに」
「ンだよせっかくバイト連れてきたのに」
「えぇぇちょ、何それ聞いてない」
「黙れ」
「スミマセン」


…全く以て理不尽な御仁である。

どうやらいるはずの店長さんがいないとのことなので、店内でも見とけという黒髪の彼のお達しの元、特にやることもなかった麻子は言葉通り店の隅々に目を通すことにした。
店内に置いてあるものはほとんどがアンティーク調。
コッコッコッコッと時を刻む大きな古時計、古ぼけたマトリョーシカ人形に陶器の置物、ガラス細工のネックレスがとても綺麗。


「しッかしまぁアレだな、店長がいないとなるとどうすッか。自己紹介でもしとくかァ?」

ガタンと椅子を引いて腰掛ける黒髪の彼に自然と二対の視線が集まる。
突拍子もない提案に、真っ先に口を出したのはもう一方、長髪の彼だった。

「勝手にしてろ、ついでに俺の紹介もしとけ。俺は部屋に戻る」
「何だそれ、そんなん自己紹介じゃねーじゃん」
「知るか、俺には関係無い」
「いやいやお前な」
「任せたぞ」
「ちょッ」


伸ばした手が空を切って、黒髪の彼が溜め息をつく。
しかし何処か諦めたふう。
それはまさにまたか、みたいな。


「…つーことで、自己紹介な。まずお前から」
「…はぁ」



ってなわけで、
自己紹介タイムである。




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