逃げた双子(1/3)
『なァ兄弟、オレ思うんだ』
『うんうん、どうしたの兄弟?』
『オレらって、まだ子供だよな』
『世間では18歳からが成年だから、17のボクらはまだ子供だろうね』
『子供って、遊ぶのが仕事だよな』
『そうだろうね、そうだともよ』
『なのにオレらは働きすぎてると思わないか』
『さっき休憩をとったばかりだけれどね』
『休憩からもうゆうに30分を超えている』
『そうだね、さっきは休憩から15分で次の休憩をとったから、比べたら倍の労働をしていると思うよ』
『オレは思った』
『何をだい兄弟?』
『絵本とは、子供が夢を持ち、楽しむためのものであると』
『そうだね、異論ないよ』
『そしてオレたちは子供だ』
『そうだね、その通りだ』
『よって、この門の向こうにある世界は、オレたちが楽しむための世界であると思う。いや、そうであるべきだ』
『もっともだね兄弟』
『しかしだ兄弟』
『なんだい兄弟』
『オレらは何故、今ここで門番なんかやっているんだと思う?』
『それはボクらが門番だからだと思うよ』
『もう一度言おう、オレらは子供だ』
『そうだね兄弟』
『そして30分労働もする働き者だ』
『そうだね兄弟』
『だから、オレらはもっと遊んでいいハズだ』
『そうだね兄弟』
『そこでだ、挨拶もかねて遊びに行こうじゃないか』
『何処にだい?』
『もちろん、絵本の中にさ』
『名案だね兄弟!』
『オレらは門番、門番はあちらとこちらを繋げる門の番人』
『例外的に、パスポートがなくても世界を往き来することが出来る存在』
『ちょっとくらい行ったって構わないさ』
『素晴らしいよ兄弟!』
『よし、そうと決まれば善は急げだ!』
『大丈夫、30分も働いたんだから、ボクらは今から休憩中さ』
『ああそうさ!行くぞ兄弟!』
『おうとも兄弟!』



真っ暗闇の回廊の中。
二人の門番が拳を掲げ。
自己中心的理由を連れて。

回廊から、



消えた。


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