小物取り扱い。(2/4)


「麻子ちゃん利き手どっち?」
「み、右…」
「右ね、了解」


言葉と同時にとられる麻子の左手。

「この2つは通信機になってるんだ。イヤリングが受信機、ブレスレットが送信機。絵本に入ったら必ず、…日常生活でもできるだけつけててくれると嬉しいかな」


カチャリ、金属の金具が触れあって小さく音が鳴る。
思ったよりゆるくもなくきつくもないそれ。
薫が満足そうに眺めた後自分のブレスレットを数回叩くと、耳元からキィンと機械音がして電話越しに聞くときのようなトントントンとこもった音が聞こえた。
音の発信源は言わずもがなイヤリング。
ブレスレットにマイクでもついているんだろう。
そして、恐らく叩いた辺りに起動ボタンも。
そのまま腕を顔の高さまであげた薫が口を開くと同時、耳からは実際の声とマイク越しの声の両方の音が入ってきた。



『使い方はわかったかな?
ブレスレットもイヤリングも、大体は辺りの音を拾って俺に届けてくれるから周りの状況は説明なしでわかるけど…、俺に何か伝えたいときはなるべく今やったみたいにブレスレットを口元まで持っていってくれると声が聞き取りやすくて嬉しい』


はた、麻子の動きが止まる。
自動的に周りの音を拾って届けてくれるというハイテクブレスレットの機能は素晴らしいと感動して数秒、
さっき、日常的に着けていてくれ、、なんてなんて説明を受けた麻子は重大な事実に気が付いた。
それってもしや、プライベート筒抜けなんじゃないだろうか。
ちょっと日常的につけなきゃいけない意味がわからない麻子なのだけれども、それってはたして強制なんだろうか。
…いや違うだろう違うに違いない。
さっきできればって聞こえたもん、問題ないはずだ。
うん、高性能ブレスレットだけはずそうそうしよう。
説明終わり、と質問の有無を確認する薫に小さな決意をした麻子は自然な流れでやんわりと首を振る。


「そっか、じゃあ大丈夫かな。そしたら…いよいよお仕事に入りましょうか」


キィィイ、と、後ろ手に開かれるドア。
部屋の出口とは正反対の位置にある扉を開いた薫は、麻子たちを招くように奥の部屋に入っていった。




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