305号室の鈴木くん。 林田さんの部屋からぐるりと体を反転させて、 カチャカチャカチャカチャ、 聞こえてきていた音はてっきりポルターガイスト現象かと思っていた。 発信源はまさかの、となりの部屋。 の、部屋の前にうずくまってピッキング真っ最中な男の子。 「……………もうちょい…ッ」 「……二階堂君…」 「う、ぉぉおぉお!?山田!? …ちッここは退くしかねぇ!」 「あ、ちょっと!」 ダダダダっと廊下を走り去っていく二階堂君。 彼はこの部屋に住む鈴木君の友達らしい。 何が目当てなのかは知らないが、よく鈴木君の部屋の鍵をピッキングで開けようとしている。 成功したところは見たことないけど。 …今ここで彼がピッキングをしているということは、鈴木君は現在外出中。 あとでまた来るか、なんて思った矢先、 後方階段側から鈴木君の怒号が聞こえてきた。 「またテメェか二階堂ォォオオオ!!」 「うるせぇ黙れ幸運男がァァァア!!」 ダダダダっと、 全力で階段を下っていく音が聞こえて。 よく見る二人の追いかけっこである。 はい、鈴木君後回し。 次行きます。 ← | → |