赤ずきん(1/8)
「ふっふふーん、るーららーらたりらったーっ♪」
今日はなんていいお天気なんだろう。
片腕にワインとケーキの入ったバスケットをぶら下げて、赤ずきんは小道を行く。
ときどきぶわっと吹く風に乗って、向こうのお花畑からお花のいい匂いがきて赤ずきんの鼻先をくすぐる。
おばあさんのお見舞いに、ケーキとワインだけじゃ物足りないかしら、
なんて、思う赤ずきんは首を左右にふるふるり。
「だめだめ、お母さんはまっすぐに行きなさいって言ったもの、まっすぐ行かなきゃだめよね!
…うーん、それにしてもおばあさんのおうちはどこだったかしら…」
ちょっと立ち止まって考えてみて。
聞こえる小鳥のさえずりに、顔をあげた赤ずきんは空をみる。
青い空、白い雲、吹き抜ける風はどこまでも優しくて、小さな悩みごとや心配ごとなんて何でもないように思えてしまいそうだ。
すーはーっ、
大きく数回深呼吸して、もう一度空を仰ぎ見る。
うん、やっぱり今日もいいお天気。
「………まぁ、まっすぐ行けばつくのよね!」
気持ち新たに結論付けて、一本道を歩き出す少女。
そんなこんなで、赤ずきんは今日も元気である。
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