*オマケ
踵を返したボクは、ハルキクンとは違う道から大通りに出た。
それからまっすぐ、五個先の角を右に曲がって、すぐの角を左。
その他にも色々曲がって、時に家の屋根に飛び乗ってショートカットしつつ、
ボクは見慣れたアパートの前に来る。
………なんか、焼き魚のいい匂いが。
塀からひょいっと、二階のベランダに飛び乗って窓をガリガリ。
すると不機嫌そうな女の人が顔を出す。
「またか野良猫、お前の主人の部屋は三階だバカタレ。
塀から三階まで跳べないなら一階から地道に階段使えよ。これ以上うちの部屋の窓を引っ掻くな」
ぎゅむ、
首根っこを掴まれて、宙に浮く体。
「おい王子、コイツ林田さんとこに持ってってやれ」
「おお、大福。貴様昨日は何処に行っていた、信太郎が心配していたぞ」
そのままぎゅむり、
地に足をつけさせて貰えずにフーカからオージにパスされる。
オージはハルキクンと同じようにボクを腕に抱えると、慣れたように部屋を出た。
ボクは誇り高き野良猫だから、主人、なんてのはいないんだけど。
それでもハヤシダサンの部屋に近付くにつれていい匂いがしてきたならば、ボクはオージの腕から身を乗り出して匂いを嗅ぐ。
ノックの後、出てきたハヤシダサンに身柄を引き渡されて、お昼ご飯にありつきます。
敢えて言おう。(ボクは野良猫)
(ハヤシダサンは主人じゃなくて)
(食べ物をくれるお友達だと)
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たくましく生きるもちごめのお話。
ここまで読んで下さり有難う御座いました!