がんばれ青少年



イッツ ア ラッキー‥?

目の前の光景に僕はただ立ち尽くすしかない。嗚呼神様仏様お爺様、こんなとき僕は一体どうしたらいいのでしょうか。


ついさっき、僕はお風呂に向かおうと寮の自室を出た。そして廊下でばったり出くわしたのは僕の大好きな彼女です。彼女への愛情は純粋なものなので、そりゃあ少しの下心もありますが(だって僕、男の子だもの)今のところ僕たちは健全なお付き合いをさせて頂いております。

しかし神様は意地悪です。僕の純粋な愛を試しているのですか。


「あ、タクトくんだあ」


彼女は僕と目が合うとへらりと笑った。正直困った。だって彼女はお風呂上がりなのだ。お風呂上がりの彼女の威力は、スガタの王の柱に匹敵する。


「どんな第1フェーズなの…」
「え?」
「あっ、いや、こっちの話」


ふうん?変なタクトくん!
そう言って笑った彼女はやっぱり可愛い。すごく可愛い。あああああ抱きしめたい!ぎゅってしたい!でもこんなところでそんなことをしたら、誰に見られるかわからない。そんな危険を侵しては駄目だ。

手をもぞもぞさせてみたり、目をきょろきょろさせてみたり、頭をふるふるさせてみたり、挙動不審な僕は彼女にいらぬ心配をさせてしまったようだ。
もしかして具合でも悪いの?と、一歩近づいた彼女が僕の頬に手を伸ばした時、ふわり といい匂いが鼻を掠めた。


(う、わ…ッ!)


甘いシャンプーの香りに、いたいけな青少年の理性は一瞬で崩壊してしまった。嗚呼、僕、頑張ったのに。神様、僕で遊んで楽しいですか?

腕の中の彼女は「タクトくん!?」と慌てた声を出している。そんな様子も可愛くて、ぎゅううと抱きしめる力を強めた。マンドラゴラの香りに堪えた僕が、好きな子のシャンプーの香りに我慢できなくなってしまうなんて…


「タ、タクトくん……ここ、廊下だよ…」
「…ごめん。もう少し…」


ああ、駄目だ、すごく好きだ。
きゅんきゅんと疼く胸の奥を感じながら、スガタに忍耐力を鍛えてもらおうと、頭の片隅で思った。



―――――
この後ジョージに見つかってどつかれます。




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