なんとなく



授業と授業の合間の、短い休み時間。カーテンの奥に入って、二人でぼうっと窓の外を見ていた。開け放した窓から入ってくる爽やかな風がオレと彼女の頬を撫でる。


「やー気分いいねー ゆうき」
「そうですねー」


…と、和んでいたら「さっみぃんだよバカ!何月だと思ってんだ!」と背中に飛んでくる要の怒声。まったく風情も何もあったもんじゃない。隣を見ると彼女も同じようにぶーたれていて、要ってほんと空気読めないよねと思った。


「…しょうがない奴だね、要は」
「ほんとにね」


そこでふと、彼女の少し尖った唇に目が留まった。この子って怒ったときわかりやすいんだよね。
……ふむ。

ちゅ、


「!!! は、え?え!?」


なんとなくその唇に自分の唇をくっつけてみると、顔を一気に赤くする彼女。効果音をつけるなら「ぼぼぼっ」て感じ。


「な、なぜ今なの!!」
「なにが?」
「どう考えても今そんな流れじゃなかったよね!?なんで!」
「…なんとなく」
「なんとなくでするな!」
「痛、」


ばし、と彼女に頭をはたかれる。これはこの子の照れ隠しだってちゃんとわかってる。要の何十分の一って強さだから、全然痛くはない。(彼女のはあれだよね、愛がこもってる、みたいな、ね)あたふたする彼女に、しみじみと可愛いなぁと思う。


「て、ていうかここ教室…!」
「カーテンに隠れて見えないよ」
「で、でもでもでも、っふ、」


あんまり可愛かったから、またチューしちゃった。



(お前ら…)
(なんですか要くん)
(…見えてんだよ)
(要くんのエッチ!!!)
(声がでかい!!)




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