単純な苺



すきです、

そう言ったら「はあ?」と返ってきた。ちょっと、ひとの告白に対して「はあ?」ってなによ。


「や…だって、い、いきなりなんだよ!」
「すきだなあって思ったから言いました」


なにか問題でも?手元のコーラにメニューの横に置いてあった食塩をぶちまける。知ってた?コーラに塩を入れるとシュワシュワシュワ〜って泡が出てくるんだよ。


「話の流れ無視すんなよ!いまチーズハンバーグかミートドリアどっち食えばいいか聞いたんじゃん!」
「食いたいほう食えばいーじゃん」


シュワシュワシュワ〜と細かな泡を出すコーラを浜田は怪訝に見つめる。あたしがストローを口にくわえるとイッと驚いた顔をした。食塩入りのコーラはなんとなく甘いのに舌の付け根にはしょっぱさが残って不思議な味。浜田はボタンの音にやって来た店員にミートドリアとポテトとシーザーサラダを頼むと、私に向き直った。


「……で、話を戻しますと、」
「………ズズズっ(あ、変な音立てちゃった)」
「その、お、俺が好き、だと」
「だから言ってるじゃん……お、」


あたしのシーフードスープパスタを持った店員がやって来て、にこやかにお待たせしましたと言った。まだ目の前でソワソワしている浜田はほっといて、とりあえずお腹を満たそうとスプーンとフォークを手にとる。あ、美味しい。


「なあ、」
「ん?(もぐもぐ)」
「俺も、その…好き、なんだけど」
「おー(ごっくん)、りょうおもい」
「というわけで、付き合いますか?」
「うん、よろしくー。あ、浜田ー、苺のパルフェも食べたい」


浜田はドリアを運んできた店員にパルフェを追加注文した。なんか俺ばっかり…と零す浜田の爪先を、テーブルの下でツンと蹴る。ドリアをふうふう冷ましながら、なに、と目を上げた浜田に「だいすきな彼氏と一緒だからいつもよりすっごくおいしいなあ」と言えば耳まで真っ赤になった。苺みたい。パルフェ楽しみだなあ。



―――――
なんとなくコーラに食塩を入れてみた小学生の私は大変感動した。




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