▽ 海常なんちゃってホラーB
「護身用に持ってるこれ、いらねえんじゃねえか?お前」
「いやいやいや、何を言ってるんですか、性別的に私が一番か弱いんですよ?」
「お前がか弱い…?」
「失礼ですね」
と、言うか、カサマツくんナイス。
私既に発砲できる状態だったんだ。
ある意味忘れちゃいけないその状況を、カサマツくんが渡した銃を持ってくれたことによって思い出したので、私も取り出すとまず一発お見舞いする。的が大きいから絶対当たるわ、これ。
謎の缶ジュースで2匹目を撃退して、更に3匹目に遭遇したので、カサマツくんがほぼ一人で撃退してくれた。私はさっきの一発だけだからね、ほら〜か弱い。
「か弱い奴は一発でも撃ち込まねえと思う」
「男子運動部の強さと一緒にしないでいただきたいですね!」
「お前も運動部じゃねえの?」
「何をもってそう思ったんですか?」
「ジャージ。それ、どう見たってウチの指定ジャージじゃねえだろ」
そう言われて、自分の服を見下ろす。
黒が基調に、ラインはブルーの細身のジャージである。まぁ指定ジャージじゃないのは確かだけど、私は別に運動部じゃない。歴とした文化部であり、文化部がジャージを作ってはいけないという決まりもない。
「これって戦闘系ホラゲなんですか?」
「おお、中村。…何で箒の柄だけ持ってんだ?」
「リーチありますし、護身用です。あ、初めまして。うちの主将が大変お世話になっております」
「ああ、いえ、こちらこそ…」
「おい」
「それより、あの黒いヘドロポケモンモドキと戦う系でいいんですか?と言うか、早川何処にいるか知りませんか」
「ラ行言えない系男子くんでしたら、柔らか系男子くんに無事に保護されまして恐らく安全地帯であろう場所にいます」
「良かった、ちゃんと保護されてた…」
箒の柄を持って登場した眼鏡かけた誠実っぽいからは苦労人臭が漂ってる。主将が大変お世話になっておりますなんて挨拶されたの、私初めてなんだけど。しかもラ行言えない系男子くんの事保護って言ったよ、保護って。あの子は幼稚園児か何かなのかな?
「とりあえず、戦えばヘドロポケモンもどきは消えます」
「戦うって言うか、こっちが一方的に攻撃しかけてるだけだけどな」
「身の危険を感じているのでいいんですぅ」
「お前本当はか弱くねえだろ、第一か弱い女子はシューティングゲームするかよ」
「しますよ」
「取り敢えず、俺も同行していいですか?」
「おう」
「どうぞどうぞ」
仲間が一人加わった、なんてテロップが頭に浮かんだけど…。あれ?私、シューティングしてること、カサマツくんに言ったっけ?なんて疑問が浮かんだけど、まぁいいかと思うことにした。私の後ろでしていた、カサマツくんと眼鏡かけた苦労人系男子の会話は聞こえていなかった。
「主将、この人って…」
「やめろ、言うな、黙れ」
「俺挨拶していいですか?」
「や め ろ」
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