中篇 | ナノ


▽ みだれちゃんとうどん組と。?



「あ〜あ、ボク女の子に生まれたかったなぁ」
「はっはっはっそりゃ無理だな。第一お前、女だったらこうして大将に呼び起こされてないぜ?」
「分かってるってば〜!」


 ボクは乱藤四郎。
 可愛い格好や小物が好き。
 それは元々だったんだけど、最近演練先で見かける女性の審神者さんたちの格好や髪飾り、手先の綺麗さや細さを見ていて、女の子に生まれてたらボクもあんな風に可愛く綺麗になれたかなって。もっと可愛い格好着れるのにって、思うようになった。
「(別に、この身体に文句があるわけじゃないけど)」

 胸なんてないし、足も、他の人と比べたら細いだろうけど、でもやっぱり男の子の足なんだってなるし。柔らかいように見えて、戦う為に生み出されたボクは筋肉で少し固い。もちろん厚よりは柔らかいけど。
 無い物ねだりで、誰がどうしたって叶えられないボクの夢だから、思うだけで良かった。夢見てるだけで十分だった。
 思わず出そうになった溜め息を飲み込んで、馬に舐められまくってる薬研を見て、お掃除終わったらお風呂入ろと予定を決めた。
 それが、いつもの、ボクだった。


「この者は乱藤四郎、なんだが…主の手元が狂ったのか何なのか、女士として顕現してしまった」
「原因は現在調査中だ。彼女を刀解するのは俺のプライド的に許されないから、このままこの本丸に在籍してもらう。本来なら、粟田口組で生活してもらうべきなんだが、うどん組に組み込むことになった」


 主さんと、鶴さんの間で顔を伏せて立つ‘ボク’は、女の子だった。
 ボクより色素が薄くて桜みたいな髪に、胸も膨らみがあって、下腹部辺りで揃えられてる両手は綺麗で細くて、ボクが夢見てた‘ボク’が其処に立っていて。
 薬研と後藤が心配してか、声をかけてくれるけど、その声はボクに届いてない。なんで、どうして。今まで沢山がんばってきたのに。なれるわけないって。女の子ので呼び起こされることなんてないって笑ってられたのに。何で、神様は。どうして、前に立つ‘ボク’は、女の子なの。
 ボクがぐるぐる考えている間に、その場は解散したみたいで、兄弟や他の人たちが、女の子に生まれたかったって言ってることを知ってる人たちが声をかけてくれる。だいじょうぶだよ、皆を安心させたくて言ったその声が震えていて、唇を噛み締めた。

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