今日は体調が悪い。
いつも悪いが今日は特別悪い。
夜更かしが祟ったのだろうか。

普段から血色がいいとは言えないような貧相な肌の色だが、自分でも今日は顔色がすぐれないと思う。
朝から具合は悪かったが、丸井と話したりしながらうだうだとしている内に三時間目、数学までこぎ着けた。

数学は得意なので嫌いではないのだが、脳内で大きな鐘をごんごんと鳴らされているような頭痛が憎たらしいほどに俺の意識を薄くしていく。
和尚頑張りすぎじゃろ、と検討違いな考えが頭を巡るが、吐き気を併発しているため正直余裕がない。

仕方がないので保健室にでも行こうかと思うがダルさで立ち上がることすら億劫だ。
…やばいのう、頭が痛くて死にそうじゃ。

机に突っ伏してやり過ごそうとするがガンガンと左右から襲い来る頭痛にどんどん気分が悪くなる。
嫌いじゃないはずの数学だが、今だけはどんな数式でも呪い殺せそうだと思った。


目立つ銀髪が机に突っ伏しているのだから当然と言えば当然なのだが、俺は案の定数学の教師に当てられてしまう。
のそりと頭をあげて黒板に連なる白い羅列を見た。なんじゃ、解けばええんか。

猫背だとよく言われる背中を更に丸め、ダルいながらも黒板へと向かっている途中、丸井が小さな声で「お前大丈夫か」と聞いて来たので左手をひらひらと振って応えた。



かつ、かつかつ


黒板に辿り着き一番長いチョークを持つと、教師が「解らんなら無理せんでもいいぞ」と鼻息を荒くするので心の中で「あほ」と悪態をついた。
反応する気力も無かった。

教師自慢の応用問題だったらしいが、当てる相手は選んだほうがええぞ。残念ながら解けてしもた。

最後に解答の下にアンダーラインを引いて踵を返す。


その瞬間。
突然視界が歪み、意識がふわりと浮かびそうになった。
やばい。
そう感じて教卓に手をつくが、激しい頭痛が追い討ちをかけ、それがとどめとなって俺はついに意識を飛ばした。





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