一章 * 爆発の音は教室ではなく、はるか上空から聞こえた。 「ふぅ。無事に飛ばせ…た…な…」 「東さん!?」 無事魔術が発動できた安堵からか、東はその場で倒れてしまった。 あわてて彼女に駆け寄り鼓動を聴く瑞希。 「…東は?」 「大丈夫です。多分セキュリティの負荷による疲労です。命には別条ありません」 「まぁ彼女は不老不死だから死ぬ事は無いけどね…で、どうするの?彼女」 東の無事を確認して緊張が解けたのか、床に座りこむ竜二。 「…そうですね。色々聴きたい事はありますが、『奇跡の魔女』がこの街に入ったと市長達に知られるわけにはいきませんし…とりあえず地下に連れて行きましょう。そこなら、私と母以外入れませんから。それに、地下なら彼女もヘタな動きは出来ないでしょう」 そう言って東を背負う瑞希。竜二が変わろうとしたが、瑞希に貴方みたいなもやしには無理ですよと一蹴された。 「分かったよ…ところで、生徒会の仕事はどうするの?」 瑞希にもやしと言われた事に少しむくれながら、言わなければ良かった質問をしてしまった竜二。 結局彼も根は真面目なのである。 だが今回は、その真面目さが裏目に出てしまったわけである。 「そうですね…まずは東さんがこの街にいるという痕跡を全て消去する事が先でしょう。その後にこの学校の現状のレポートを制作して、生徒会室の修理の要請もしないといけませんね。そ・れ・に?明日の提出物も仕上げないといけないんです…よっ!」 そう言って瑞希は、後ろをこっそり逃げようとしている竜二を針で壁に固定した。 そして、彼に顔を近づけて 「分かりますぅ?今週会長がぁ?仕事を溜めたばっかりにぃ?こんな事になったんですよぉ?」 今夜は寝かせないと言わんばかりの暗い笑顔で、ほほ笑んだ。 その笑顔を見て竜二は、もう二度と仕事を溜めないと心の中に強く誓ったのであった。 ← 前へ → 次へ ⇒ 戻る ⇒ TOP |