一章 「って!いや!いや!?なんで二人ともそんなに冷静なんだよ!死んじゃうよ!僕たち死んじゃうよ!」 由々しき事態だよ、っと机をたたく竜二。その間にも音は鳴り続けている。 「…この大きさだと、街が壊滅するレベルだろうな」 ピピピピピピピピピピ 「なんとかしてくださいよ」 ピピピピピピピピピピピピピ 「いや、だって魔術効かないし」 ピピピピピピピピピピピピピピ 「やっぱ東、僕の話聞いてなかったでしょ!!もう君の魔術効くんだよ!早く飛ばして!被害が無いとことに全力で飛ばして!!早く!!!」 「早くして下さい!元はと言えば貴女の所為でなんですから!!早く!」 叫んで、東にすがりつく竜二と瑞希。 二人の瞳には、薄らと涙がにじんでいる。 「…っ分かったから!そんなせかすな!!」 竜二と瑞希を引き剥がし、槍に手を充てて目を瞑る東。 ピピピピピピピピピピピピピピピ 音は更に激しく大きくなっていく… 「「はやく!!」」 「わかってる!ちょっと黙ってろ!!計算が乱れる!!」 二人の懇願を聞き流し、必死に飛ばす座標の位置を計算する東。 額に汗をかき眉をしかめながらも、彼女は必死に計算をする。 …会って数時間もたたない彼らを助ける義理は無いが、自分のせいで巻きこんでしまった事は確かである。 助ける義理が無いように彼らがここで命を落とす義理もないのだ。 そして、下手すれば自分のせいでこの街に生きる何の関係のない何百人を巻き込むのだ。 それだけは、それだけは絶対に避けなければならない。 そう強く思い、計算式を組み終わった直後― ← 前へ → 次へ ⇒ 戻る ⇒ TOP |