一章 * 「会長ぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 叫んで、瑞希は生徒会室のドアを力いっぱいあけた。 しかし、そこには竜二の姿はなく、ただ荒れた部屋だけが広がっていた。 「…っ。一体どこに行ったんですか…」 あわてて周辺の教室を調べ回る瑞希。しかし、どの教室にも彼がいるような痕跡がない。 「おい、アホ毛女。この階にあの会長とやらはいないぞ」 そう言って瑞希の横に突然現れる東。 「うわっ!いきなり現れないで下さいよ!心臓に悪いです。アホ毛女じゃありません!ちゃんと瑞希って名前があるんです」 「急に現れるなってお前な…人がせっかく教えてやったというのに。そういう言い方は無いじゃないか?ミユキ?」 「み・ず・きです!!ミユキって誰ですか!?…そんな事言われなくても分かってますぅ」 瑞希は嫌味たらしく、東に言い放つ。そして、彼女は再び竜二の手掛かりを探がし始めた。 「おい」 「なんですか…ってちょっとぉぉぉぉぉぉ!?」 瑞希が驚くのは無理もない。 東に呼ばれて振り返った彼女が見た光景は天井に頭を突っ込んでいる東の姿だった。 傍から見れば、天井から首なし人間が宙ぶらりんしているようにしか思えないだろう。 「何してるって、上の階を見ただけだが?」 何事もなかったように地面に着地する東。 「いやいやいや、なにその【何か問題があるか?】みたいな顔しないでくださいよ!」 「はぁ…ミズキはいちいちうるさいな…。たしか、あの包帯男は氷の能力者だったよな?」 「…ええ。そうですけど」 「そうか、だったら見つけた」 そう呟いて瑞希の腕をつかむ東。 「……へ?」 ← 前へ → 次へ ⇒ 戻る ⇒ TOP |