一章 「…はぁ。一体何がなんやら」 ふーとため息をつく竜二。 突然現れた槍にはもちろん、気づいたら瑞希と東が居なくなって自分だけ置き去りにされている事に正直驚いた。 おかげで、僕は現在進行形であの槍に追い掛け回されている。 標的は東のはずなのに関係ない自分が狙われているというのは、よくある「これを見られたからには生かしておけん」の類なのだろう。 そう、現状を整理していた時、また真横からあの槍が突出してきた。 「〜っ!全く危ない…な!」 半ばやけくそになりながら、突き出た槍に蹴りを入れる竜二。 だが、蹴りで何とかなれば彼はこんなに焦ってないだろう。 再び消える槍。 しかし、それは諦めたというわけではなく、また死角から攻撃してくるのだ。 「…ったく。空間魔術でも使えるのかよ…いや、あの魔術は彼女しか使えない。考えられるとしたら…まさか!」 彼は何か閃いたようでまるでいたずらを思いついた時のように顔をにやりと歪ませた。 ← 前へ → 次へ ⇒ 戻る ⇒ TOP |