一章 「知らん」 そっぽを向いて答える東。心なしか、挙動不審になっているように見える。 「ははは…そんな言いきられても困るんだけどさ。まぁいいや。この街はね『魔術師殺しの街』って呼ばれているんだ。その名の通り対魔術師に特化したセキュリティが街全体を覆っている。そのセキュリティ「そんなものが原因だと言うのか?馬鹿馬鹿しい。」 竜二の言葉を遮って東は言い放つ。 「そのセキュリティが原因ならば、私はこの街に入ってからずっと実体化してなければおかしいだろ。だが、実体化したのはあくまでこの建物に入ってからだ。これはどう説明するんだ?包帯男。」 「包帯男って…酷いな。うーん…それは、この建物…学校っていうんだけど、この地下にはそのセキュリティの核があるんだよね。だから、ここはどこより強力なんだ」 「多分、外より百倍強いですよ。一応、ここが最後の砦のようなものですから」 「そのせいで、この建物の中では君の魔術の副作用も無くなるってわけだ」 「…そうか、外に出れば元に戻るということか。…迷惑をかけたな」 東は椅子から立ち上がると、そのまま生徒会室から出ようとドアの方へ歩いた。しかし、彼女の腕を瑞希が掴んでそれを阻んだ。 「待って下さい。このまま、帰すと思いますか?」 「…どういう意味だ」 「今度は貴女がこちらの質問に答える番です」 瑞希の手を振り払って、睨む東。 「因みに黙秘権はありませんから。貴女は、何しにこの街に来たんですか?目的はなんですか?」 「貴様らに教える義務は無い」 「いいえ。貴女には黙秘権は無いと言ったでしょう。さぁ、答えてください」 「それは―」 刹那 東の体は突如現れた巨大な槍によって二つに裂けた。 ← 前へ → 次へ ⇒ 戻る ⇒ TOP |