一章 * ツーツー 携帯電話が切れた音だけが生徒会室に響く。 あぁ…どうしてこうなったのか。 ぼんやりと瑞希は思った。 結果から言って、『何か』の正体は『人間』だった。 しかし、これがただの一般人だったら、瑞希は今こうして首を絞められていないだろう。 マフラーなようなもので顔の半分を隠していた為、男なのか、女なのか、瑞希には判別が出来ない。 その『人間』は、光を映さない漆黒の瞳で彼女を睨みつけ、若干締め付ける力を緩めて言った。 「答えろ。どうして貴様は、私に触れられる?」 「ハッ。知りませんよ、そんな事。というか、触れる事の何がそんなに驚く事なんですか?」 そう言って相手を睨み返す瑞希。 「…ふん。強情な女だ。もう一度問う。何故貴様は私に触れる事が出来る?貴様だけではない。ここの建物は一体何だ? どうして、私が触れる事が出来る?」 「………。」 「あくまでも黙っているつもりか」 そう呟いたかと思うと『人間』は瑞希の胸元に手を当て… 彼女の体の中に手を突っ込んだ。 更にその手を深く入れ心臓がある部分で止まり、掴んだ。 「ひっ……!?」 瑞希の顔が恐怖に歪む。 彼女の反応に満足したのか。漆黒の瞳をにやけさせながら言う。 「最後のチャンスだ。次答えなければ、このまま心臓を握りつぶす」 耳元に顔を近づけて囁いた。 「答えろ。どうして私に触れられる?」 ← 前へ → 次へ ⇒ 戻る ⇒ TOP |