イガグリ

一章



「……………今瑞希の悲鳴が聞こえたような。」

現在竜二は、生徒会室から大分離れた教室にいる。
何故、廊下から掃除用具を持ってこいと瑞希に言われた彼がこんなところにいるか…

理由は単純である。


働きたくない


この一言である。

瑞希の言うとおりにすれば、確実に今日一日中仕事させられる。
しかし、生徒会室をあの惨状のまま放置すれば、確実に仕事はしなくて済む。


だから、竜二は逃げた。


あとで言い分けができるよう廊下の掃除用具はもちろん生徒会室近くのも全て持ってきていた。
「わざわざ掃除なんかしなくていいのに…全く瑞希は真面目なんだから。あっ…捜されないように、『絶賛掃除用具捜しナウ☆』って感じの電話いれとこーっと…」


直後


ピピピピ♪

彼の携帯が鳴った。着信は瑞希からだった。
「あ、もしもし瑞希?今ね僕…」
『…て………』
「?瑞希?」
『逃げ……て』
「はっ?一体どうしたの?瑞希?」
『い…今すぐここから…逃げ『おい、だれと話しているんだ』


ブチッ―…ツ―ツ―

電話が切れた時には、彼は教室から飛び出していた。
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