イガグリ

一章

「うわ…なぁにこれ。滅茶苦茶じゃない。泥棒でも入ったんじゃないの?」
彼女の叫びに耳を押さえつつ竜二が、生徒会室の惨状に顔を少し顰めた。
「…あっでも?こんな状態じゃぁ仕事なんかできないよね!そうだよね?そうだよね?」
直ぐに仕事がサボれると思ったのか、目を輝かせた。
「そんなわけないでしょうが!見たところ、ただ部屋が荒れているだけみたいですから、掃除したら作業はできます。…はっ!まさか会長、貴方が…」
「え?え?違うよ!僕は何もしてないよ!」
瑞希にあらぬ疑いをかけられた竜二は顔を横に思いっきり振って否定の意志を示した。
「…とりあえず掃除しましょう。会長、廊下から掃除用具持ってきてください。私は先に片づけていますから」
「分かった。一応何も無いと思うけど気をつけてね」
「はいはい」と軽く受け流して瑞希は荒れた生徒会室に足を踏み入れた。

…一体何がどう起きればこんな風に荒れるんだか…竜巻でも起きたのかな。と悪態をつきながら、瑞希は生徒会室を見渡した。


散乱した本、プリント。


倒れている机や椅子、本棚。


よく見るとカーテンも若干破れている。


「これは、明日先生に報告しないと…」
と呟きながらプリントを拾っていると…




ムギュ




奇妙な音を立てて何かを踏んだ。


「……………………………………………………へ?」
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