砂糖菓子のお姫様
「名前先輩って可愛いですよねー」
「ししっなに、フラン名前のこと気になってんの?」
「違いますってー、そーゆーんじゃなくー…」
ニヤニヤと冷やかし笑いをするアホベル先輩のことはほっといて、向こうでオカマ先輩と楽しそうに話している名前先輩を眺める。
真っ白な肌にぷっくりとしたピンク色の唇。細い金色のウェーブした髪とくりくりの目…
「ふわふわしてますよねー」
「まぁな、最近王子の真似して髪もくるくるになったしなー」
「くるくるとかベル先輩のその鳥の巣と一緒にしないでくださーい。名前先輩のはきれいなウェーブじゃないですかー」
「カッチーン、名前の王子も同じじゃねーかよ。妬いてんの?」
「(全然違うっつーの)」
ふわふわと胸元まで伸ばしている髪は悔しいけどベル先輩と同じ金色…同じなのは本当に色だけなんですがー。そんな容姿でバルコニーでお茶を飲む姿はまるでお伽噺のお姫様。1000人が1000人振り向く可愛さですってー絶対。
「フラン…」
「……」
「おい無視してんじゃねーよ、バカエル」
「ゲロッ」
外すことが前提とはいえ部屋の中で軽い気持ちでナイフ投げんのやめろよなーだから堕王子なんだ、堕ちた王子…堕王子。我ながらナイスネーミングセンスー。なんて頷いているとその横でベル先輩が名前先輩をちょいちょいと手招きしていた。ベル先輩またろくでもないことをなにかたくらんでるんじゃないですかー?
そんな悪魔の手招きを疑うことなくまっすぐこっちにやってくる、真っ白な心を持った名前先輩。
『どうしたのベル?あっおはようフラン』
「おはよーございまーす」
『で、何か用?』
「ししっ、なぁ名前これつけてみろよ」
『ティアラ?これってベルの大切なものなんじゃないの?』
「名前にはトクベツ貸してやるよ」
『うん…?』
挨拶をされてからベル先輩はなにをたくらんでるんだろーとふかふかのソファーの背もたれにもたれかかりながら見ていると、ベル先輩が自分の頭からティアラを取って名前先輩に本当に渡すもんだから思わず身を乗り出しそうになった。にやりと口角をあげたベル先輩がこっちを見る。
…ミーの反応を見て遊んでるってわけですねー。それならミーものりませんーと心の中でベル先輩に舌を出す。するとさっきまで不思議そうにティアラを見ていた名前先輩がそっとそれを頭にのせた。
「似合うじゃん名前。な、フラン」
「え…あぁ、普通に似合ってますよー名前先輩」
『普通ってなによ!ねぇベル、ちょっと借りていい?鏡見てきたいの!』
「あぁ、いいぜ」
『ありがとう!』
トタトタとかけだしていく名前先輩をベル先輩と2人で目で見送り、パタンとドアが閉まったところでふぅっと息をつく。
「なぁフラン」
「なんですー」
「…顔赤いぜ」
「……っ」
咄嗟に顔をおさえベル先輩を見るとにししっと笑っている。キッと睨む今度はもっと笑われた。
もう最悪ですー
(ベル先輩なんて死ねばいいのにー)
(はいはい)
((あんなに似合うと思ってなかったんですもんー))
[END]
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