Shareing Love-2-
「ひ、ひどいよ、お前ら…っ、ひっく、なんでこんなこと、するんだよぉ…」
あまりの出来事に、俺は涙が止まらなかった。
六実も八穂も、友達だと思ってたのに。
好きだって言われて、嬉しかったのに、こんな、こんなことするなんて。
「七生、泣かないで…」
「さわんなっ! 八穂も六実も、俺の気持ち聞いてくれない!! やめろっていっぱい言ったのに…!」
「やめろって言われてやめれるかよ。俺も八穂もお前のことが好きなんだよ」
「やだ、もう俺の部屋来るな、帰れ」
「…わかったよ。七生、驚かせてごめんね。でもよく考えてね。…六実、行こう」
「…ああ」
2人が部屋から出ていくのを見て、俺はほっと息をついた。
体は綺麗になっていて、2人が後片付けしてくれたのだ、と気付く。
畳んで置いてあった部屋着に着替えて、俺はベッドに入りこんだ。
今は何も考えたくない。
「六実…、もしかしたら、早すぎたかもしれないね」
「ああ、そうだな。…あいつ、子供じみたところがあるから、まだ意識できてないのかもしれない」
「七生はそんなところも可愛いんだけどね。…けれど、絶対うまくいく」
「当たり前だ。今までどれほど苦労して七生に言いよってくる男を蹴散らしてきたと思ってんだ」
「ふふ、そうだね」
七生の家を挟んで、六実と八穂の家はある。
玄関を出てから、2人はじゃあ、とあいさつを交わし、それぞれの自宅に入って行った。
大きな家に挟まれた小さな家で、七生は夢の中へと旅立っていく。
「ななちゃん、御飯よ」
「いらない…」
目を覚ますと夕食時で、そんな気分じゃない俺はベッドにこもっていた。
お腹がすいているのに食べたくない、母さんの言葉にそう返事をする。
いつもならすぐにそう、と返事をするだけの母さんが、今は2階に上がってきた。
「むっちゃんとやっちゃんが来てるわよ。早く下りてきなさい」
「…なっ!! 帰ってって言って」
「何よ。ななちゃん、変な子。とにかく下に下りてきなさい。お母さん、今日仕事なんだから」
「ご飯は…?」
「あら、いらないって言ったじゃない。…むっちゃんが作ってくれてるわよ」
母さんはいくからね、と言いながら、すぐに部屋を出て行く。
行ってきます、ななちゃんを頼んだからね、と頼まれて、2人が返事をしたのが聞こえた。
「…どうしたらいいんだよ…」
少しだるい体がなおさら恥ずかしかった。
ぐう、と鳴ったお腹と、1階からのいい香りに負けて、俺はそっと1階へ降りて行った。
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