良く言えば、悪く言えば
良く言えば、悪く言えば
「…、仕事しないなら出て行ってくれ」
生徒会室にかいちょーの声が響いた。
まぁ、そうだよね
こんな風に生徒会室で暴れられちゃぁ、誰だって怒るよね。
って、いうか。
っていうか、なんでこんな事になってるの。
一日前
「会長、転校生の書類見せてくれますか?」
ふくちょーの声で、目が覚めた。
早朝だし、この部屋の暖かさ、心地よくって眠っちゃった。
仕事しなきゃ。
ここの学校って生徒会が殆権力持ってんだよね。
その所為で、忙しいんだけど、授業免除あるし。
さいこーなんだけど、転入生とか、新入生とかまで把握しなきゃなのはメンドクサイな。
話しがずれちゃった。
とりあえず、俺、ふくちょーこと、副会長の声で目が覚めちゃったんだよね。最悪。
「あぁ、これな。見たら棚に返しておいてくれ」
今、喋ってるのが、生徒会長。
髪の毛がめちゃくちゃ綺麗な色してるんだよー。
あと、そこらにいるのが、書記のわんこと、補佐の双子いち、にね。
「理事長の甥らしいな。理事長室まで案内しろだってさ。お前行ってくれないか?」
「私ですか? 別に構いませんが…」
「じゃあ、明日、頼むな」
「分かりました」
と、会長達が話しているのを聞いてる俺は、生徒会会計。
見た目チャラ男で、もー、勘違いされまくり。
あ、これも余談なんだけどね。
とりあえず、こんな朝早く働いてるのはもうじき、総会があるから。
しかも、こんな忙しい時期に転校生だって。
時期はずれも良いとこだよー。
そういえば、クラスメートがなんか王道がやってくるって言ってた、よくわかんないけど。
って、そんな訳で、ふくちょーが迎えに行くことになったわけ。
まぁ、俺的には超どうでも良かったの。
ふくちょーも、王道君も。
特に、会長のことなんて。
会長に頼まれて転校生を案内して帰ってきたふくちょーってば、めちゃめちゃ嬉しそう…だったわけ。
双子がそんなふくちょーのこと気にしてそわそわして、わんこも気になってるのか仕事が手につかないみたい。
俺は特に気になんないけど…。
でも、ふくちょーがうれしそうなのは、きっと王道君の所為だと思う。
「どうしたんだ? テンションたけぇじゃねえか」
会長も気になってたみたい。
会長が聞いたのに、ふくちょーは内緒です、とか笑ってる、…ちょっと、気持ち悪い。
痺れを切らした双子が、ふくちょーを質問攻めにしてる。
質問に答えたふくちょーによると、
笑顔がキモチワルイ
って言われて、惚れたみたい。
…どういうことってか、失礼じゃないの?
会長も眉間にしわ寄せてるよ。
男前があれだよ、強面になってるよ。
あ、そろそろ、お昼だ。
今日はA定食にしよ。
「おい、天瀬、昼一緒していいか」
「え? …、いいですよー」
わお、珍しく会長からのお誘いだよ。
ってか初めてだよ。
俺ってば、会長とあんまり関ってなかったんだ。
そういえば、書類渡したりするだけだもんね。
俺、友達みんな風紀にいるんだもん。
あ、あと、俺の親衛隊とか。
「天瀬? 行かないのか?」
「あ、はい。行きます」
会長待ってるよ。
眉間、皺よってるよ。
会長と、他愛ない話してたら何時の間にか、食堂についてた。
食堂は、学校じゃないみたい。
まるで、あれだよ、どこかの高級レストラン。
まあ、ここ金持ち校だもん。
ちなみに、俺んちは、両親が大物女優と俳優だよ。
会長の家は、もっとすごい。
たしか、財閥がどうのこうのって奴。
「かいちょー先輩は何食べるんですか?」
かいちょー先輩って変かも。
「…、A定食にしようと思ってる。お前は?」
「奇遇ですねー。俺も、A定食にしよーと思ってました」
会長って、意外とケチなのかも、A定食、めっちゃ安いよ。
セレブが食べるもんじゃないよ。って、俺もか。
「かいちょー先輩って、A定食食べるんですね」
「…っは、俺を何だと思ってるんだ。そんな毎日豪華なもん食べてらんねぇよ」
会長、笑うとえくぼが出来るよ。
そんなこんなしてるうちに、A定食できたみたい。
今日は、洋風か、あ、コーンスープだ。らっきー。
「っげ、最悪…」
「どうしたんですかー?」
「コーンスープ、嫌いなんだよ…」
なんていう奇遇…。
そのコーンスープください。
生徒会専用の席に向かってたら、悲鳴が聞こえた。
もともと、会長がいるからうるさかったんだけど、なんか、違う類の悲鳴。
キャーじゃなくて、ギャーって感じ?
「なんだよ、座れねえな」
「そーですねぇー。も、ここでよくないですか?」
「そうだな」
会長と一緒に一般席に座った。
一般席ならあの悲鳴の元に行かなくてすむしね。
悲鳴の元、生徒会専用席なんだよ。
会長気になったみたい。
近くにいた、明らかにタチですって人に聞いてた。
あ、ここ、山奥の閉鎖された男子校だから、同性愛者が多いんだ。
まぁ、俺はバイのタチだけど。
ちなみに、親衛隊とか、色々ある。
「で、先輩、あの悲鳴はー?」
「聞いてなかったのか? 見た目が酷い転校生が双子とかにキスされたと」
「見た目?」
そりゃあ、どんな風に。
「ぼっさぼさの髪に瓶底眼鏡で、所謂オタクみたいだと」
…。まぢか。
あ、会長もう食べ終わりそう。
「自分の立場を、わかって欲しい…」
会長、しみじみ言ってますが、止めに行かなくていいんですか…。
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