キャパオーバーラブ-2-

「みっちゃん、おはよ」

リビングにいるみっちゃんに声をかければ、にこにこ、というよりにやにやしてた。
みっちゃんは、僕のお母さんで、僕がいつき君のことが好きなのを知ってる。
だから、こうしてにやにやしてるんだ。
むかつく、でも、今幸せだから許してあげる。


「みず、ごはんどうするの。いつき君とあつ君もまだだって」

「じゃあ、食べる。いつき君、隣どうぞ」

「ありがと」

「おい、俺は」

「みっちゃんの隣」

「…」

みっちゃんがにたぁと笑うのが見えて、僕は顔をそらした。
それから隣に座ったいつき君に意識をずらす。
いつき君は、綺麗な黒髪をしてる。
あつは、染めてるのか、キャラメルみたいな色をしてる。
結構、好きな色。
キャラメル、好き。


「いつき君、朝練お休みなの?」

「うん。だから、久し振りに瑞と学校行こうと思って」

「嬉しい」

「僕もだ」

「いちゃいちゃすんな、はよ食え」

「はーい。あつも、早く食べなよぉ」

「俺はマイペースなの」

「むー。いつき君もゆっくりでいいからね」

「うん、ありがとう」

いつき君が笑ってくれた。
すごい幸せ、大好き。


「ごちそうさまでした。満さん、今日もおいしかった」

「あつ、お前毎朝、食べてるのか?」

「あ?そうだけど、悪い?」

「い…や、別に、なんでもない」

「へんないつき。おい、みず、終わったなら行くぞ」

「あ、うん。いつき君終わった?」

「…うん、終わったよ。行こうか」

「行ってきまーす」

一瞬、いつき君とあつの様子が変だった。
どうしたんだろ。
まあ、いつものこと…かな。
とりあえず、行かなきゃ。


「いつき君、模試で1位だったって聞いたよ。すごいね」

「あ、ありがと。瑞も模試でいい点とってるでしょ。えらいよ」

「あつには、かなわないから」

「あー? いつきも瑞もマジメだな」

「あつがちゃらんぽらんすぎるの!!」

「瑞は真面目クンだろ。ほら、前見て歩け」

あつが笑うから思わず僕も笑った。
あつが笑うと、なんでか僕も笑っちゃう。
どうしてだろ、あつなんかにこんな気持ちになるなんて。
最近の僕は変なんだ。


「…瑞?」

「え?あ、どうしたの?」

「…、瑞、ぼーっとしてた。なにか、悩み事でもあるの?」

「え、ううん。ないよ。ない」

さっきから、あつのことばっか考えてる。
僕は今日、調子が悪いんだ、きっと。
ぼーっとしてられないよ。
いつき君と一緒に学校に行けるんだから。
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