猫かぶってます。
腹黒風紀副委員長×猫かぶり
猫かぶり。
猫かぶりこそがこの世で一番の世渡り上手。
だと、俺は思ってる。
「都ー!」
今日も上手に、
猫かぶってます。
都ねこ。
可愛い名前でしょ。それこそ猫かぶらなきゃ悪いってぐらいね。
そんな俺はみやこちゃんとか、にゃんことか。
そんな風に呼ばれてます。
楽することが大好きな俺は、親に勧められるまま全寮制の男子校に入って、ゆっくりとした生活を送ってた。
何で過去形かっていうと。
つい最近きた、転校生とやらに俺の平凡な生活が壊されちゃったから。
なんだかな。
「みやこってば!!」
「どうしたの? 柳君、廊下走ったら駄目だよ」
「そっか! あ! 俺な、都のこと探してたんだよ!」
「うん、そっか。でもね、俺先生に呼ばれててさ、良いかな?」
「あ…、そうか! じゃあ俺もついてく! いいだろ?」
ものすごく嫌そうな顔をした僕に、彼はこてんと首をかしげた。
そんな彼に小さく舌打ちしてにっこりと笑う。
彼は思わずはがれてしまった猫に気付かないくらい鈍感さんだ。
「ごめんね、大事な話だから」
「…そっか。…あっ! 大河だ!」
僕の奥にいた生徒会長さんを見つけてだっと走った彼にこっそりとべろを出す。
はあー、せいせいした。
あんなの相手にしてると疲れちゃうよ。
「…ほお。都ねこ。名前の通り、猫かぶりみたいだな」
不意に聞こえてきた声。
低いその声の主のほうに視線を向ければ、ぐいっと胸元を掴まれた。
「…っ、」
「下手糞だな」
目の前にいたのは、いつもは優しくてまるで王子様のような…。
腹黒風紀委員長
「…っ、あんたこそ、猫かぶりじゃんか…!!!!」
猫かぶってます。 end
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