小豆君と、王子様と、めりくり
小山小豆君の王子様
「甘佐様っ、おはようございますっ」
「おはよう、ちぃ」
「ふあぁ…っ」
くらりと、恍惚とした表情を浮かべた小豆を見て、思わず笑う。
そっと背中を支えて、小豆の頬に口付けた。
「今日はクリスマスだな。…プレゼント、用意してくれたか?」
「はいっ、甘佐様に喜んでいただけるよう、小豆、がんばって用意いたしましたっ」
「あぁ。ありがとう。嬉しいよ」
「あまささまぁ…っ」
小豆の寮部屋に来た甘佐は靴を並べて、小豆の肩を優しく抱く。
うっとりとした表情の小豆にもう一度口付けて、部屋に入るように促す。
共同間に入ると、同室者がいそいそと部屋を出て行った。
「いいのか?」
「はいっ、今日は甘佐様が来て下さるって言ったら、ふたりでゆっくりしろって…」
こてんと首をかしげた小豆に軽く笑い、ソファーに腰を下ろす。
夕食はもう食堂で豪華なものを食べて済まして、後はケーキと小豆を貪るだけ。
シャワーを済ませるように言ってあるから、もう準備は万端だ。
「ちぃ…、今年は何をくれる?」
「甘佐様…、小豆を、貰って…ください」
「ああ、もちろん。上出来だ、小豆」
テーブルの上に置かれたケーキから少しクリームを掬って、小豆の口元に塗りつける。
小豆、と優しく名前を呼んで、噛みつくように口付けをした。
その口付けにきゅう、としがみついてきた小豆を、愛おしく思う気持ちでいっぱいになった。
「今年も、小豆を貰えるなんて、俺はとても幸せ者だな」
そう耳元で囁けば、とろんとした瞳が嬉しそうに雫を浮かべた。
「メリークリスマス…」
end
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