はじめまして-3-

フミネが入れた飲み物を口に含み、祖父は真昼を眺めた。
黒い髪の隙間から三角の形をした耳がぴこぴこと動いている。
大きなしっぽは真昼の心を現すのかそわそわとしていた。
深夜に甘えるように膝の上に乗って、祖父に笑いかける。


「とても愛らしいお方。どれ、じじのもとにも来てくれませんか?」

「ん…っ」

祖父の言葉に真昼は深夜の膝を降りる。
ふかふかのカーペットの上をぽてぽてと歩き、祖父にだっこして、と両手を広げた。
深夜の膝までしか身長のない真昼はとても軽く、祖父は真昼を抱きあげて膝に座らせる。


「私の伴侶はとても優しく愛らしいでしょう?」

「ええ、そうですね。深夜は見る目があるようだ」

「…お爺様、また母上と喧嘩をなさったのですか?」

「…。夜空さんは私を見ると喧嘩を売ってくるのですよ」

「父上はお爺様が大好きですからね」

深夜が苦笑しながら、飲み物を呷る。
祖父の膝に座った真昼は不思議そうに首をかしげていた。


「じじさま、よぞらさんと仲よし、違うの?」

「じじは夜空さんとは気が合わないだけですよ。真昼さんとは仲良くできます」

「仲良しちがうのいくない」

「…それでは、次に会った時に仲直りしましょう」

困ったように微笑んだ祖父は真昼の頭を撫でた。
真昼は祖父の言葉に安心したのか、こくりと頷く。
それから大きなおなかを撫でて微笑む。


「仲良しだと、ひよもよろこぶ。みんな仲良し、いちばんなの」

「おなかの子、ひよというのですね」

「うん、生まれたら、またじじさまに会いに来る」

「ありがとうございます」

そう言ってウトウトし始めた真昼。
立ちあがった深夜が真昼を抱きあげた。


「真昼も眠たそうなので、そろそろ帰ります」

「そうですね。深夜、また来てください」

「はい。母上との仲直りの件、早めにお願いしますよ」

「あなたにいわれるなら。…いい奥さんをもらいましたね」

祖父の言葉に深夜は微笑んだ。
それから真昼を外套の中に包み込み、頭を下げる。


「お爺様、私のもとへも遊びに来てください。真昼も喜びます」

「ええ。今度。では」

「はい。また機会」

小さな扉を開けて、深夜達は自分たちの城へ向かっていった。


「いいひ孫にも恵まれそうだ」

ひとり残った城の中で、祖父は優しい笑みを浮かべた。


end

後書
リクエスト内容
 はらぽてモモンガな真昼さん、長老と会う

真紅様リクエストありがとうございました。
どうでしたでしょうか。
モモンガ表記が難しかった…。
けど、真紅様のリクエストの真昼さんがかわいすぎてたまらんです。
じじも深夜さんも真昼さんにメロメロですね。
じじは夜空母上とは相性が合わずにいつも喧嘩してます。
理由は、恒星さんの初めての人がじじだから…だったら燃えるとか色々妄想中です。
リクエストありがとうございました。
書きなおし等は真紅様のみお受けいたします。
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