はじめまして-2-

森の奥の小さな城が目に入り、深夜は息をついた。
馬から飛び降りて、外套の中の真昼の背をぽんぽんと叩く。
外套の中から出てきた真昼は小さな城を見て目を輝かせた。


「ここ、じじさまのおしろ?」

「そうだよ。小さくても綺麗だろう?」

「うん、きれーっ」

ほわんと笑みを浮かべた真昼に深夜も微笑む。
後からついたフミネとロウも真昼の笑みに微笑んだ。
深夜が歩みを進めて、真昼が鼻歌を歌い始めた。

小さな扉を開いて先に進んでいく。
廊下の天井は徐々に小さくなっていって、次の扉を潜るときには深夜が少しだけかがまなければいけなくなっていた。
頭を下げて、室内に入る。
真昼は外套にもぐって、深夜にしがみついた。


「ああ、いらっしゃい。お久しぶりですね、深夜」

「久しぶりです。お爺様」

「また一段と男らしくなりましたね」

「そうですか?」

深夜達を出迎えたのは、一目ではひ孫までいる祖父に見えないくらい綺麗な男性。
フミネとロウにも挨拶を交わして、男は座るように促した。


「お爺様、その前に私の伴侶を」

「ああ、そうでしたね。真昼さん、でしたか?」

「はい。…真昼、出てきなさい」

「ん、ん、よいしょっ」

外套の中で深夜の体をゆっくりと下りていく。
小さな手が外套をまくり、真昼は外に出た。
オレンジ色の光が出迎えて、目を細める。
深夜の前に立っている祖父を見て、真昼は深夜の足の後ろに隠れた。


「恥ずかしがり屋さんなのですね。真昼さん、こんにちは」

「こ、こんにちは…、じじさま」

ぺこりと頭を下げた真昼に祖父は柔らかく微笑んだ。
深夜に促されて前に出る。
手を差し出してくれた祖父に、真昼は小さな手で握手をした。


「とても小さいお方ですね」

「ああ。モモンガ…という動物らしい」

「ももんが?」

しっぽを抱えた真昼が恥ずかしそうにしっぽを咥える。
愛らしい仕草に祖父が真昼の頭を撫でた。
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