はじめまして
126621hit 真紅様
黒薔薇の庭で
ぽてぽてと可愛らしい足音を鳴らして歩いてくる小さな真昼を見て、フミネとロウは思わず微笑んだ。
もふもふとしたしっぽは真昼が歩くたびに揺れる。
大きく膨らんだお腹を重たそうに歩き、時々は床に座り込んでふう、と吐息を零した。
「真昼様、お疲れになったんですね」
ロウが先に真昼の傍による。
真昼に問いかけるとこくこくと頷き、こてんと後ろに転がった。
「しんやさん、とこいく」
「はい、わかりました。このロウが連れていきますよ」
ロウに抱きかかえられて小さな真昼は深夜の執務室へ向かった。
執務室に入ると、深夜は書類を机に置いて立ち上がる。
真昼を見て、大きく手を広げてくれた。
ばっとロウの腕から深夜の腕に移る。
ぼふ、と深夜の腕の中に入り、真昼は深夜に擦りよった。
「真昼どうした?」
「ん…、しんやさん、あいたくってきたの」
ぎゅっと抱きついた真昼に深夜が優しく笑う。
小さな三角の耳に口づけて、深夜はソファーに腰を下ろした。
真昼の大きなお腹を撫でる。
「真昼、これから我が祖父に会いに行く。大丈夫か」
「だいじょおぶ。しんやさん、ぎゅってしてくれる?」
足の間に入ってきたしっぽをぎゅっと抱きしめた真昼に深夜は鼻頭を押さえる。
それから真昼をぎゅっと抱きしめて口づけた。
「フミネに温かい格好をしてもらおう。それから行こうか」
「んっ」
優しいキスを受け止めて真昼がとても上機嫌になった。
そんな様子にフミネはすぐに部屋を出て真昼の衣服を取りに行く。
ロウも他の支度をはじめた。
「しんやさん、じじにあいにいく?」
「そうだ」
「じじさま、怖い?」
「優しい人だ。だから安心しなさい」
戻ってきたフミネに抱えられて、真昼は温かい格好をする。
温かい格好をしてから深夜が外套を羽織り、その外套の中に真昼を抱え込んだ。
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