可愛い可愛い迷子ちゃん
86668hit 真紅様
小山小豆君の王子様。×月夜椿×ほわほわララバイ×先生と僕
ショッピングモール。
田舎ならではの大型のそこは三階建てで、楕円型の吹き抜けがある。
汰絽、有岬、椿の3人は、買い物に来ていた。
「…あまささま、どこぉ…ひっく、う、う、」
泣き声が聞こえて、3人はそちらへ視線を向ける。
小さな男の子が泣いている。
身長の低い3人よりも小さい男の子だ。
「小学生かな?」
“制服着てるよ。…あ! 僕が前に通ってた学園の制服、”
「高校?」
「高校ってなあに?」
“うん。あ、つー君は通ってないんだよね。勉強するところだよ”
話しているうちに、男の子はぽてぽてと歩き始めた。
しくしくと泣いている様子を見ていると、不安になってくる。
リュックを担いだその子に声をかけようと思って、汰絽が足を進めた。
「どうしたの? 迷子?」
「ひっく、うええんっ、あまささまぁああ」
うえええん、と大きな泣き声に変わり、椿と有岬があわて始めた。
どうしよ、どうしよ、とあわてる2人に笑い、汰絽は男の子と同じくらいに視線を合わせる。
「迷子になっちゃったんだね」
ポケットからタオルを出して、男の子の目元を拭く。
すると、少しずつ落ち着いてきたのか、泣き声が静かになった。
「お名前は? 言える?」
「小山、小豆…」
「小豆君ね。どの辺ではぐれたのかわかる?」
「あまさ様と手を繋いでて、本屋さんに行って、…ひっく、あまささまぁ」
「本屋さんあたりだね」
「たぁ君、大丈夫そう?」
「うん。大丈夫だよ。可愛い子だなー」
汰絽ののんきな声に、有岬と椿は苦笑した。
4人は腰を落ち着けようと、フードコートに入る。
座った小豆と、汰絽を見て、有岬と椿は飲み物を買いに行った。
「小豆君は、どこから来たの?」
「あっちの山にある学園からきたの…、あまさ様が制服デートしてくださるから、」
「そうなんだ。大丈夫だよ。携帯持ってるかな?」
「持ってる…ひっく、でも、でも、うえええん…」
「貸してくれる?」
「ん、ん」
ポンと、手の上に置かれた携帯に汰絽はほっと息をついた。
電話帳を開き、甘佐、の文字を見つける。
電話をかけて、出るのを待った。
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