子供みたいな大人たち-4-*
「まず、玉ねぎ切ろっか。玉ねぎはみじん切りね」
言いながら、玉ねぎを少しみじん切りして見せる。
うさちゃん、やってみて、と有岬に包丁を手渡すと、危なげな手つきでみじん切りを始めた。
「すごい、なんていうか、怖いね」
“いつも周がしてて、包丁持たせてもらったの最近なの”
思わず椿が呟いた言葉に、有岬が笑いながら言う。
楽しげな笑みを見せた有岬に汰絽も笑う。
「難しかったら、フードプロセッサーを使おう。包丁はもう少ししたら覚えようか」
“その手が…”
「無理に使わなくていいんだよ。僕も時々使うし。つー君、フードプロセッサーどこにある?」
「だしたよ」
「早いね、ありがと」
フードプロセッサーを使い、みじん切りにした玉ねぎをフライパンに入れる。
それから、オリーブオイルを入れ、しんなりするまでいためた。
「包丁の持ち方は教えたんだけど、力が弱いせいかガタガタするんだよな」
井上が有岬のまねをして見せる。
すると、時雨が小さく笑い、風太はキッチンを二度見した。
むくも井上のまねをして、ガタガタ手を揺らす。
「いつも俺が教えてるんだけど、たまにはいいな。お花畑」
「お花畑? なあにそれ」
「可愛いのが集まってることだよ」
むくのこてんとした様子に、そう答え、井上はキッチンへ視線を向ける。
ガーッと、フードプロセッサーの音を聞きながら、買ってくるか、と心の中で呟いた。
「うさ君、箱入りなんですね」
「沖田がものすごく過保護でさ。…まあ、仕方ないんだが」
「まあ、それも可愛さの1つだね。うちの椿も料理を一緒にするときは、可愛いからな」
時雨ののろけを聞き、風太も参戦し、井上も参戦し、三つ巴の戦いになる。
3人の白熱した討論になんか楽しいね、とむくが笑った。
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