子供みたいな大人たち*

69696hit やまさん様
先生と僕×月夜椿×ほわほわララバイ


「お邪魔します」

“お邪魔します”

時雨のマンションに泊まりに来ることになった有岬と井上は、椿に招かれて部屋に入った。
シンプルに整えられた家具に柔らかな色合いのソファーやカーペットに井上はへえ、と声を上げる。
椿に手を引かれ、ソファーに荷物を置いた有岬は熱帯魚の水槽を見せてもらっていた。


「水族館行った帰りに買ってもらったの」

“綺麗”

椿が書いた絵なのか、可愛らしい絵が壁に貼ってあったり、棚の中には2人の写真がたくさん置いてある。
どれも目新しいのか、井上はその写真を眺めたりしていた。
そんな中、時雨がリビングにあるテーブルの上にコップを4つ置いた。
2つにはオレンジジュース、残りにはアイスコーヒーだ。


「あったかい家だな」

「もともとはもっとシンプルだったんだ。椿が来てから変わったんだよ」

「へえ…」

ソファーに座りながら話していると、有岬と椿はオレンジジュースにつられテーブルにやってきた。
カーペットに腰を下ろした2人は、仲良くジュースを飲んでいる。


「もうじきしたら、汰絽君達も来るからね」

「ほんと? クッキー用意したの。出していい?」

「構わないよ。椿」

椿がキッチンへ向かう姿を見て、有岬はクッキー? と首をかしげた。
時雨はその様子を見て、微笑む。


「椿はお菓子作りが上手なんだよ。汰絽君といつも試食会を開いている」

“僕も、お菓子なら、たぶん作れる”

「たぶん?」

「ああ、時雨。有岬は料理があまり上手じゃなくて。最近上手になったんだよね?」

こくりと頷く有岬に、時雨はそうか、と笑った。
それからキッチンでクッキーを出している椿を見てそうか、と有岬を見なおす。


「汰絽君から教えてもらったらどうかな」

“たろ君から?”

「そう。汰絽君は料理がとても上手でね。椿もできるけど、汰絽君からよく教えてもらっているよ」

“頼んでみます”

「材料揃ってるから、今日にでも、試してみなよ」

時雨のありがたい提案に有岬は頷いた。
早く来ないかな、と玄関の方へ視線を動かした有岬に、井上と時雨は微笑む。
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