中間発表とダンスパフォーマンス
お昼を終え、風太をのぞく、3人はグランドへ戻った。
汰絽と好野は自分の軍団の椅子が置いてある場所へ、杏はダンスパフォーマンスのための着替えに、自分の教室へ向かう。
風太は出ないようで、屋上へ残った。
「あん先輩のところ、どんなのかなぁ」
「なー。…んー、ぼんやりと言ってたけど、吸血鬼をメインにしたらしいぞー」
「へえー…吸血鬼な風太さん見たかったなあ」
「ハロウィンにでもしてもらいなよ」
「そっか、そうだねー。…杏先輩が吸血鬼って似合うね」
汰絽の言葉に、好野は苦笑いした。
それから、中間発表のアナウンスを聞く。
現在の1位は、風太と杏のところ、青軍だ。
2位は体育科の黄軍。
3位が汰絽達の赤軍。
4位が工業科の緑軍、5位が芸術科の紫軍、6位が普通科の白軍。
「んー、3位だって」
「だね。まあ、次から頑張ろうぜ」
「そうだね。あー、ダンスパフォーマンスはじまるって」
「おー! 杏先輩、きっと目立つだろうな」
「イケメンさんだもんね」
ニコニコと笑い合っているうちに、青軍が入場してきた。
賑やかな曲が流れ、汰絽達はわあっと、目を輝かせる。
「バク転すごいっ!!」
「あ、あれ杏先輩じゃん」
「わあっ、すごいね、よし君、ムービー撮って!!」
「お、そうだね」
好野が携帯で動画をとるのを見て、汰絽は小さく笑う。
最近の好野は、みらは以外に興味を持ち始め、なんだか成長した気がする。
とか、好野に失礼なことを考えつつ、汰絽は黒いスーツの生徒たちが激しく踊るのを眺めた。
「…風太さんが踊ったら、格好いいんだろうな…」
「汰絽…?」
「え? なに?」
「いや…、最近、汰絽は春野先輩のことばかりだなって思って」
「えー? そんなことないよ」
そう言いながら、足をぶらぶらさせる。
好野はそんな汰絽を見て、苦笑した。
「あ、杏先輩すげー。やっぱ、不良さんだから動きが俊敏だな」
「そーだねぇ。すっごい楽しそうだね」
「あの人、イベントとか好きだからな」
そんな会話をしているうちに、汰絽達の番が来た。
軽く衣装を着替えるため、校舎に戻りすぐに着替える。
汰絽達のイメージは、戦国時代をモチーフにしている。
3年生の幹部は甲冑を着て踊るらしい。
「…どう?似合う??」
1、2年生は浴衣を軽く羽織り、軽く足元に装飾を施す。
準備が終わり次第、赤軍の生徒はグランドへ走って行き、入場した。
激しい音楽に合わせて、踊る。
何回も聞いた音楽に、汰絽は思わず小さく笑った。
その笑いに気付いた好野も隣で笑う。
「ふ…、ははっ、よし君上手」
「汰絽もな。…練習した甲斐があるなあ」
陣形を作ったり、して、ふと屋上へ視線が馳せた。
屋上に見える白と茶色の頭。
汰絽はもう一度好野に笑いかけた。
「よし君わかりやすいなー。…意外とダンス上手いし」
「あー? …たろもいた。あいつも意外と上手い」
「あの2人って意外性に満ち溢れてるよねー」
「…」
風太が軽く笑うのを感じて、杏も笑った。
「はるのん最近機嫌いいよねー」
「あ?」
「別にー」
汰絽達のダンスが終わって、2人は屋上を後にした。
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