おはよう
朝、時雨が起き上がったのを感じ、椿も目を覚ました。
昨日のように体がだるいとか、不調はすべて取れている。
「ん? …椿、おはよ」
時雨の優しい声が椿に届き、椿はこくん、と返事をした。
そっと頬に口付けを受けて、笑う。
「おはよって言ってごらん?」
髪を撫でられてそう囁かれれば、椿はなんとなく心が締め付けられた。
時雨に言われたとおりに、声を出す。
「おはよ…?」
「そう、上手だよ」
時雨が嬉しそうな顔をするのを見て、椿もとても嬉しくなった。
それを伝えようと服をきゅっと掴む。
そうすれば、今度は時雨が額に口付けをくれた。
「熱測ってから朝ごはん食べようか」
体温計を貰い熱を測ってから、2人はリビングへ向かった。
ロイと秋雨が珍しく談笑しながら、朝食を取っている。
席に着けばロイがすぐに椿に話しかけた。
「椿君、安曇君起こしてきてくれる?」
「どうして椿に?」
「俺やさぁが起こしに行ったんですが、全く起きないんですよ」
「なら別に俺でも」
「起きないと思いますよ。さぁと時雨さん、声が少し似ているんで」
ロイの言葉に時雨が眉間にしわを寄せれば、すぐに理由を教えてくれた。
時雨は少し嫌に思いながらも、椿の背中を押す。
椿はこくん、と頷いて安曇の部屋へ向かった。
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