いただきます
「お、上がったかお2人さん。飯出来てるぜ」
リビングへ戻ると、秋雨がテーブルについていた。
それから椿ちゃんおいでーっとちょいちょいと手招きする。
椿をおろし、自分は適当に座った。
椿はとてとてと秋雨の元へいく。
「はい。髪ゴムと飴ちゃんあげるよ。時雨に結ってもらいなよ」
そういって椿の手の中に飴を入れ、ゴムをふたつ腕につけた。
椿はありがとう、と頭を下げる。
今度は時雨がちょいちょい、と手招きした。
近寄ってきた椿の髪に触れ、首元をさらすように団子状に纏める。
「はい。これで良い? 邪魔だったら別の縛り方するから言ってね」
こくんと頷く椿に時雨は笑みを浮かべた。
周りの2人も同じで椿を微笑ましく見つめている。
秋雨から貰った飴玉をポケットに入れて、椿は時雨の隣に腰を下ろした。
「よし、飯食べようぜ。椿ちゃん、嫌いなものあったら退けていいからね」
「まだ何が食べれるか分からないし、秋雨も無難な物作ってたから時雨さんも心配しなくて良いですよ」
「ああ、助かる。この間、カレー食べさせて吐いたから」
時雨は2人に頭を軽く下げ、椿に食べるように進める。
ロイと秋雨も席に着き食事を始めた。
椿がなれない手つきで食べていると、秋雨が思い出したかのように口を開く。
「あ、これから、ロイと出かけてくるわ」
「朝帰りか? 明日も仕事頼む」
「了解」
秋雨がニヤリと笑い、ロイは顔を青ざめた。
その様子に時雨は苦笑しつつ椿の様子に目を逸らす。
椿は箸を置かずぼんやりとしていた。
時雨はそんな様子の椿に声をかける。
「椿? もういいの」
小さく頷く椿に、時雨は微笑み髪を撫でた。
ロイも食べ終わったのか、食器をキッチンへと運んでいる。
椿もそれを真似する様に椅子から降り食器を運んだ。
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