猫足バスタブ

汰絽の作ったグラタンと、美味しい玉ねぎのスープ。
最後には美味しいと有名な洋菓子店のケーキを食べた。
家族記念、ということで、3人で写真も撮った。


「これ、この前さ、言ってたマグカップ。汰絽のは水色、むくのは黄色。俺のは白」

「わあ! これ、むくの?」

「そうだぞ」

「わ…、ありがとうございます」

水色の猫が大きく口を開けたイラストの入ったマグカップを受け取り、汰絽は目を輝かせた。
嬉しいプレゼントに、笑みが零れる。
そんな様子のふたりに、風太も笑みを零した。


「風太さん、コーヒー、入れますね」

「あぁ。むくは何飲む?」

「ココア、飲む!」

「わかったよ。コーヒーと、ココア」

新しいマグカップを持って、汰絽はキッチンへ向かった。



「たろ、風呂、説明したから大丈夫だよな」

「はい」

「先入ってこいよ」

「はい。むく、お風呂入ろうね」

「はーい」

ひらひらとむくに手を振る風太に頭を少し下げてから風呂場へ向かう。
溺れるなよーと声を掛けられて、返事をすればリビングから笑い声が聞こえてきた。

綺麗な浴室は、ここが日本の風呂場だとは思えない内装だった。
説明された時少し見た感じと、いざ入浴するとなると、感じ方が全く違う。
お風呂を見て嬉しそうにはしゃぐむくを見て、汰絽も小さく笑った。


「猫足バスタブ…」

「ねこ?」

「うん。にゃんこさんの足に似てるでしょう?」

「わー!」

金色の猫足を見て、むくが目を輝かせた。
白い陶器に少しだけ見惚れてから、ふたりは蛇口をひねった。


「むく、おめめつぶっててね」

「はーい」

目を瞑って手で隠したむくの頭に、泡立てたシャンプーをつける。
とてもいい香りがしてきて、ほっと息をついた。
むくの柔らかな髪がもこもこしてきて、シャワーで泡を流した。



「あったかいね」

「あっついー」

「そう? じゃあ、そろそろ上がろうか。あと10数えようね」

「いーち、にーい、さーん…」

むくと一緒に数えていると、ガラガラと風呂場の扉が開く音が聞こえてきた。
磨りガラスの方を向くと、影が見える。


「たろ、タオルとむくの水、ここに置いとく」

「あ、はい」

そう声を掛けられて、少し大きめの声で答えた。
指を折りながら数えていたむくの手が止まって、汰絽は小さく笑う。
5からだよ。
そう教えてあげると、むくは数えるのを再開させた。
浴槽からあがった汰絽は腰にタオルを捲いて、もう一枚置いてあったタオルでむくの体を包む。


「温かかったね」

「んー…」

「眠くなっちゃったかな」

そうくすりと笑って、むくの体を拭く。
パジャマを着せてから、汰絽も着替えた。
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