3人お揃い

書類を提出して、家に帰ると汰絽とむくはテレビを見ていた。
おかえり、と温かい声に迎えられて、部屋に入る。
カーペットの上で洗濯物を畳む汰絽の隣に座った。


「むく、大事な話、聞いてくれるか?」

「おはなし?」

風太に声をかけられて、そばに寄ってきたむくは、ちょこんと正座をした。
むくの前に座り、真剣な顔でむくと向き合う。
洗濯物を畳んでいた汰絽も、手を止めて、むくの隣に座った。
風太は一息ついてから、口を開いた。


「むく、これから俺と、あと俺の父さん…風斗と、家族になってほしい」

「…家族?」

「あぁ。こうやって一緒にご飯食べて、お風呂入って、一緒に寝るんだ」

「ほんとう?」

「あぁ、本当だよ」

「じゃあ、たあちゃんと、ふうたと、かざとと、一緒?」

「あぁ。どう?」

「うれしい!!」

嬉しそうに目を輝かせたむくは、風太にぴょんっと飛びついた。
柔らかな頬が、風太の頬と触れあう。
すりすりと頬を寄せてきたむくに、風太は笑った。


「むくが喜んでくれて俺も嬉しい」

そう言うと、うっすらと涙を見せた汰絽が満面の笑みを浮かべた。


「むく、そろそろお風呂」

「たろ、俺も一緒に入っていいか?」

「はい。タオル、置いておきましたので」

「さんきゅ。むくー、風呂入るぞー」

「はーいっ」

風太に抱かれたむくは、とてもうれしいのかまだにこにこしている。
お風呂に向かっていくふたりに、ほっと息をつき、汰絽は洗濯物を畳むのを再開させた。



「幼稚園、次の学年になったら苗字も変えなきゃだな」

そう呟くと、服を脱いでいたむくが首をかしげた。
そんなむくの頭を撫でて、目線をむくと同じ高さまで下げる。


「むくは今、六十里むくだろ?」

「うん。ついひじ、むく!」

「おう。でも今度からは、俺とお揃いの、春野むくになるんだよ」

「はるのむく? たあちゃんも、おそろい?」

「そ。おそろい。俺と、むくと、たろ。3人お揃いだぞ」

「わあ、すごいね!」

きらきらと輝く瞳が、とても眩しい。
嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねるむくの様子が、とても可愛らしくて風太は思わず微笑んだ。
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