甘えたさん

春野家 5月突然のリクエスト祭り


「今日でゴールデンウィークが終わるな」

「そうですね。明日から学校です」

めんどくせーとカーペットに横になった風太が言うのを聞きながら、汰絽はテレビのチャンネルを変えた。
昼間のニュースは帰省ラッシュや大渋滞の報道が多く。
明日から普通の生活になることをまじまじと感じさせた。


「むくー。こっち来いー」

「はーいっ」

風太に呼ばれ、やってきたむくは風太の腹部に乗り上げる。
それから、きゃっきゃと笑いながら、風太に抱き付いた。


「なあに、ふうた」

「呼んだだけー」

「えーっ」

風太をお腹の上のむくをぎゅうっと抱きしめてから、笑いながらむくを腕で持ち上げる。
隣に座った汰絽はむくが喜ぶ姿を見て、微笑みながらさっきまでむくが呼んでいた絵本を片づけた。


「ふうたー」

「ん?」

「ふうたのまねー!」

「はは、まねされた」

風太は腹筋を使い起き上がるとむくをカーペットの上におろし、わき腹をくすぐる。
わき腹をくすぐられたむくはひいひいと笑いながら、右に左に転がった。


「きゃははっは、ひっひいっ、ふうたっ、ひはははっ」

「どーら、参ったか」

「まいったっ、まいったー」

風太がくすぐるのをやめると、むくはすぐに起き上がって汰絽に抱き付く。
抱き付いてきたむくを抱きしめ、汰絽は笑った。


「たぁちゃん、ぎゅーぎゅー」

「はい、ぎゅー」

汰絽にぎゅーって抱きしめてもらう。
ふわふわの髪の毛に鼻先を埋めてみると、むくに逃げられた風太ががばっと腕を広げた。
汰絽のわっという声を聞き、むくは背中にぬくもりを感じる。
そのまま汰絽がカーペットの上に倒れると、風太は横に転がる。
真ん中で抱きしめられたむくはきゃっきゃと笑った。


「ふうたもたぁちゃんもぎゅーっ」

「ぎゅー」

「ふたりともぎゅーしてやろう」

「わわ」

「ふうたがぎゅー」

風太にまとめてぎゅうっとされたふたりは嬉しそうに笑った。

甘えたさん end
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