キャンディー

2014.3.14
ホワイトデー
風太×汰絽


「たろー、おいで」

リビングでテレビを見ていると、キッチンの方から風太に呼ばれた。
急いで傍によると、風太がニコニコしている。
どうしたんだろうと首を傾げると、風太は汰絽と同じ目線まで腰を曲げた。


「口開けてみ」

「んあ」

ぽい、と口の中に入れられたのは、甘い甘いキャンディーだった。
苺味だ。


「なあに、どうしたんですか?」

「今日は何の日?」

「…あ、ホワイトデーですか?」

「そ。これ」

手を取られ、とられた手のひらの上に、小さなガラスの箱が置かれた。
なんだろうかとまじまじと眺めると、開けていいよ、と風太が笑う。
ガラスの箱を開いてみると、パステルカラーの包装用紙に包まれたキャンディーがたくさん入っていた。


「…! わあ、すごい!」

「喜んでくれてよかった。ホワイトデーのお返しって意味があるんだってな」

「そうなんですか?」

「マシュマロは嫌い、クッキーは友達でいて、キャンディーは私もあなたが好き。だって」

「…」

風太がにっと笑ったのを見て、汰絽はかあっと頬が熱くなってくるのがわかった。
顔をそむけると、風太にぎゅっと抱きしめられる。
温かい腕の中で、汰絽はふんわりと笑った。


「…飴うまい?」

「はいっ」

「お前、甘いの好きだもんな」

こくこく頷きながら、口の中で飴を転がす。
苺の味が口の中で広がり、甘い気持ちになった。


「来年もバレンタイン楽しみにしてるから、お前もホワイトデー楽しみにしてろよ」

「はい、来年はもっといい感じにします!」

「俺もな」

汰絽はガラスの箱を抱きしめて笑みを浮かべた。

end
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