テンプレートバレンタイン

2014.02.14
バレンタインデー
風太×汰絽


「おー、見事に雪が降ってるな」

「そうですねえ…この調子だと明日積もりますね」

「ああ、やだなー、このさみーの」

ふふ、と笑いながら隣を歩く風太を見る。
寒そうに指先を合わせ息をかける姿がなんだか可愛くて笑った。
かっこいいコートを着ている風太はマフラーはつけているけれど、手袋はしていない。
人一倍寒がりの暑がりな癖に、と思いながら、汰絽は手袋をはずし風太に差し出した。


「ちっちゃいかも…」

「いや、サンキュ」

汰絽から受け取った手袋をつけると、本人が言っていたように小さかったけれど温かい。
そのぬくもりに笑みを浮かべると、汰絽が少し恥ずかしそうに手袋を外したもう片方の手を差し出してきた。


「手、つないだ方が、あったかいです。…誰も、いないし」

「そうだな、貸して」

「ん」

ふたりは身体をよせて指先を絡めた。
冷たい風太の手にわ、と軽く声を上げる。


「冷たい」

「俺末端冷え性なんだよ」

「お母さんみたい」

「お前の方がお母さんみたいだけどな」

指先ですりすりと手の甲を撫でてあげると、風太がぎゅっと手を握ってきた。
その手に少しずつ体温が移っているのを感じて、汰絽はうれしくなる。
ああ、好きだな、この人が。
そんな風にきゅんと胸が締め付けられた。


「風太さん、おてて繋いだのはいいんですが…少し、離してもらっていいですか」

「ん?」

「なんか、今渡した方がそれっぽいから」

「んー?」

手を離して、ポケットに手を入れて待つ。
風太が汰絽を見ていると、汰絽はカバンの中からなにか取り出した。
それから、手を差し出してきた時よりも赤い顔で、もじもじとする。


「あの…風太先輩、好きです」

少し芝居がかかったような声を出しながら可愛いラッピング用紙で包まれたものを手渡してくる。
空色のりぼんで結ばれたそれに、風太は今日が何の日か思い出した。


「ありがとう。…俺も、君のこと好きだよ」

「…きゃー」

「棒読みだな」

汰絽からの気持ちを受け取って、抱きしめる。
道端で何してんだろ、と汰絽が笑いながら言うのを聞き、風太も小さく笑った。
可愛いなー、と呟きながら、頭に顎を乗せぐりぐりする。


「手作り?」

「もちろん」

「愛されてるなー、俺」

「愛してますよー」

棒読み、ともう一度笑い風太は汰絽と顔を合わせるように腰を曲げる。
それから、ちゅっと軽くキスした。


「ホワイトデー楽しみにしてな」

「はい」

嬉しそうに笑う汰絽に手を差し出す。
あっためて、と言うと、汰絽が頬を赤くしながら手を繋いでくれた。

end
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