ハッピーバースディ、マイダーリン。当日-2-
「…誕生日おめでとうございます」
日付が変わった時に、ベッドの中で囁いたが、もう一度。
ほかほかと美味しそうな匂いのするオムレツの前で伝えた。
いろいろな気持ちを込めて、愛を囁くように。
「ありがとう。たろ」
汰絽の気持ちが痛いくらいに伝わってきて、風太は笑みを浮かべる。
愛おしい恋人の、愛情が込められた誕生日。
とても嬉しくて、風太は向かいに座っている汰絽に、身を乗り出してキスを送った。
「可愛い恋人がいて、幸せだ」
「…、僕の方が、幸せです」
小さな声で囁き合うようにやりとりする。
それから、小さく笑いあってから、スプーンを手に取った。
「うまかった。オムレツも、ケーキも」
「良かったです。頑張ったかいがあります」
くすりと笑い、手元にあったワインをあおる。
目の前の風太も同じようにワインを飲んで、嬉しそうにしていた。
そんな姿がとても愛おしくて、微笑まずにはいられない。
「風太さん。これ、お誕生日プレゼントです」
すっと風太の前に小箱を差し出す。
昨日、好野についてきてもらって、一目ぼれしたもの。
綺麗なネイビーの包装紙で包まれている。
「開けてもいいか」
「はい、どうぞ」
頷いた汰絽に、風太は丁寧に包装紙を開けた。
小箱を開いてみると、シンプルで、それでいて見劣りしない、タイピンが入っている。
最近なくしたばかりで、困っていた。
汰絽を見ると、照れたように小さく笑っている。
「失くしたの覚えていたのか」
「はい」
「ありがとう」
そう言って、汰絽に微笑む。
ふふ、と嬉しそうに笑った汰絽に、きゅん、とした。
「風太さん、かっこいい30歳まで、もう少しですね」
「はは」
軽く笑いながら、タイピンを指先でつまんだ。
少しだけ、重さを感じる。
早速、明日から…。
そう思いながら、風太は汰絽の嬉しそうな顔を眺めた。
「Happy Birthday」
ハッピーバースディ、マイダーリン。 end
color="#DDDDDD" size="1" />後書
風太さん誕生日おめでとうございました。
5/5って、いろんな人の誕生日ですよね。
復活の孤高の浮雲の人とか、某新撰組の某土方さんとか。
ツイッターのタイムラインとか、面白いことになってました。
風太さんへのお祝いの言葉、ありがとうございました。
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