春野家の旦那様

風太×汰絽


「おはよ…ございます…」

「おー、はよ。…疲れきってんなぁ」

「…昨晩、無理をさせたのはどなたでしょうか」

「すまん」

クスクスと笑いながら謝る風太に笑いながら、ゆっくりと体を起こす。
痛む腰と喉にため息をついてベッドから降りた。


「そんな色っぽい格好でどこ行く?」

「…昨日のうちに何か着せてくれてもいいじゃないですか…!」

すっぽんぽんのまま、ベッドに腰をかけた状態の汰絽に声をかけた風太は、ぱこん、と傍にあったティッシュで頭を叩かれた。
昨日脱いだスウェットの上を汰絽に渡して着させる。
見事にワンピースのようになり、ああ、これが彼シャツ…のようなものか、と感心した。
裾から伸びる白い脚がとても魅力的だ。
まるで、もちもちの白玉のようで。


「朝ごはん作りますから、ゆっくりしててください」

「あぁ、いい奥さんだなぁ」

「駄目な旦那さんですねぇ」

憎まれ口を叩く奥さんの腰を撫で、そっと頭に唇を落とす。
それから立ち上がった汰絽にひらひらと手を振った。
ベッドヘッドに置いたクッションに体を預ける。


「換気扇、つけてって」

「はい」

部屋を出る直前に伝え、換気扇をつけてもらう。
サイドディスクの上に置いてある煙草を取って、火をつけた。
ゆらゆらと揺れる煙を見ながら、深く吐き出した。



リビングのカーペットで汰絽を膝の間に座らせながら、DVDを観賞する。
最近はやりのホラー物で、家で怪奇現象が起き始め、それを録画した奴を視聴者が見ている…というタイプのもの。
レビューを見ると、つまらない、とか書いてあるが、案外好みのものでよく借りてくる。
足の間で見ている汰絽は怖いのか、びくびくと肩を震わせていた。


「怖い?」

耳元でそっと囁くと、こくりと頷きが返ってくる。
頭を撫でて、そっと耳たぶに口付けた。
その唇をゆっくりと耳たぶから耳裏へ滑らせて、首筋に吸いつく。
甘い声が聞こえて、くすりと笑った。


「風太さんって、スケベ」

「スケベな方がよくない?」

「…」

「かわいーな。真っ赤になっちゃって。ほら、映画に集中しな」

「風太さん、こそ…っ」

春野家の旦那様は、破廉恥スケベです。

end
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