春野家の1日-2-

「たろ、今日、早く終わんの?」

「はい」

「そうか」

「風太さんは? 集会、あるんですか?」

「あ? …確かねえよ」

「そうですか」

「じゃあ、今日は2人で迎え行くか」

「はいっ」

汰絽が嬉しそうに笑ったのを見て、風太も小さく笑った。
幼稚園から近いため、すぐに学校に着く。


「たろ、授業終わったら迎えに行く」

「はい。教室で待ってますね」

「おう。じゃあ、がんばれよ」

「はい」

2人は学年が違うため、校舎が違う。
汰絽は風太の背中を見送ってから、自分の校舎へ向かった。


「よしくん、おはよ」

「おはよー、たろちゃん」

「今日も元気だね」

「まあね。それより、今日、5時間で終わりらしいよー」

「そうなの? それって、風太さんもかなあ」

「たぶんね!」

教室に入って好野のもとへ行けば、ゆるく挨拶が返ってくる。
それから、他愛のない会話をしていたら、すぐに担任が入ってきた。
窓際の自分の席に腰かけ、窓の外を眺めていたら、むくたちが散歩しているのが見える。
汰絽はそれを眺めて小さく笑った。





「たろ、飯食おうぜー、あ、その前に飲み物な」

「うん」

昼時、隣から好野に声をかけられて、机を動かした。
飲み物、自販機は玄関に置いてある。
それを買うため、2人は教室をでた。


「何にしようかな」

「みかんでいいじゃん」

「えー、俺みかん嫌いー」

「えー、おいしいじゃーん」

「わ、あん先輩、こんには」

「たろちゃん、こんにちはー」

好野がぐだぐだと指を彷徨わせていたら、杏が話しかけてきた。
杏の後ろには風太もいる。
杏は好野の背中に乗りながら、みかんジュースを押した。


「アッー!!」

好野の叫び声を聞きながら、汰絽は風太の元による。
風太は呆れた顔をしていた。


「風太さん」

「よ、たろ」

「授業、でましたか?」

「…おう」

「出てないですね、その様子だと」

「まあな」

「また喧嘩ですか?」

「いや。ちょっと図書室で寝てた」

汰絽がずるい、と呟くのを聞いて、風太は汰絽の頭を撫でた。
それに気を良くしたのか、汰絽は目を細めて、猫の様な仕草をする。


「たろ、5限さぼろっか」

こくん、とうっとりと頷いた汰絽に風太は笑った。
汰絽は真面目な風貌や行動をするが、実際のところ、結構大胆だ。
たまにこうして出会ったりすると、そのまま次の授業はさぼることになる。
好野はわかってるのか、とりあえず昼飯をたべよう、と汰絽を引っ張ろうとした。


「よしくーん」

「何ですか、杏先輩」

「みんなで屋上行こうよー。キモチイよー」

「あんずせんぱいきもーい」

「なんだよーう、せっかく誘ったのに。みらはのキャラグッズ買ったのにー」

「イキマス!! 行かせていただきます!!」

「わーい、たろちゃん、お弁当、よし君と俺が取ってくるから、先行ってなー」

「はい」

杏の申し出に汰絽は笑みをこぼして、風太の袖をつかんだ。
それに気づいた風太は歩みを進める。
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